2010 Fiscal Year Annual Research Report
αーハロカルボニル化合物を合成素子とした光学活性ハロゲン化物の効率合成
Project/Area Number |
21750096
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
柴富 一孝 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00378259)
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Keywords | フッ素 / 塩素 / ハロゲン化 / 不斉触媒 / アミノ酸 / Diels-Alder反応 / オキサザボロリジン |
Research Abstract |
β-ケトエステルを独自に開発したキラルルイス酸触媒存在下で連続的に塩素化,フッ素化することによりα,α-クロロフルオロケトエステルを合成高い光学純度(最高92%ee)で合成することに成功した。さらに同様の手法を用いてα,α-クロロフルオロケトホスホネートの合成にも成功した(最高92%ee)。得られたジハロケトエステルの絶対配置を含む分子構造は,X-線結晶構造解析法により完全に明らかにした。またジハロケトエステルのケトン部分を修飾することで,gem-クロロフルオロメチレン基を持つβ-アミノ酸を高純度で合成した。β-アミノ酸は薬物設計に汎用される部分構造であることから,今回合成した含フッ素新規アミノ酸の創薬への応用が期待できる。次にα-フルオロエノンをジエノフィルとした不斉Diels-Alder反応によりフルオロシクロヘキセン誘導体を高純度で(最高94%ee)合成することに成功した。本反応の成功例はこれまで1例しか報告されておらず,そのエナンチオ選択性はわずか46%eeにとどまっていた。本研究ではキラルオキサザボロリジンと塩化スズからなる複合酸触媒を利用することにより高いエナンチオ選択性の発現に成功した。得られたフルオロシクロヘキセン類の絶対配置を含む分子構造はX線結晶構造解析法により決定した。シクロヘキセン骨格は様々な薬物の基本骨格となることから,今回合成したフッ素化された光学活性シクロヘキセン類は新薬候補分子の開発に寄与すると期待される。
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