2011 Fiscal Year Annual Research Report
銅/NHC触媒による新規炭素―炭素結合形成反応の開発
Project/Area Number |
21750097
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
新谷 亮 京都大学, 理学研究科, 助教 (50372561)
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Keywords | 銅 / 有機ボロン酸エステル / 含窒素複素環カルベン / 触媒的不斉合成 / 付加反応 / 置換反応 |
Research Abstract |
有機化合物の迅速な骨格構築が可能となる炭素-炭素結合形成を伴う有機反応は非常に有力かつ効率性に優れた手法であり、とくに21世紀型の資源戦略的な有機合成を考える上で、比較的安価で入手容易な遷移金属を触媒として用い、穏やかな条件下、官能基耐性にも優れた汎用性の高い反応の開発は、解決すべき大きな課題の一つであると言える。このような背景のもと本研究では、官能基耐性に優れ、取り扱いも容易な有機ボロン酸エステルを求核剤として用いた銅触媒による炭素-炭素結合形成反応の開発に取り組み、前年度までに、光学活性な含窒素複素環カルベン(NHC)配位子を有する銅錯体を触媒に用いることにより、カルボニル化合物や電子不足アルケンなどへの不斉付加反応が効率的に進行することを明らかにしていた。本年度は、付加反応ばかりでなくアリルリン酸エステル類への位置選択的な置換反応にも本手法が適用できることを新たに見出し、銅触媒に用いる配位子として我々が新規に設計・合成した光学活性なNHC配位子を利用することにより、反応を高収率かつ高エナンチオ選択的に進行させることに成功した。このアリル位置換反応においては、用いる基質の置換パターンを変えることにより、三級不斉炭素中心ばかりでなく、四級不斉炭素中心のエナンチオ選択的な構築も可能であり、様々な有用の高い光学活性有機化合物へと変換できるキラルビルディングブロックの効率的な合成に成功した。
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