2009 Fiscal Year Annual Research Report
配位制御を鍵とした鉄触媒クロスカップリング反応の開発
Project/Area Number |
21750098
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
畠山 琢次 Kyoto University, 化学研究所, 助教 (90432319)
|
Keywords | 触媒・化学プロセス / クロスカップリング / 鉄触媒 |
Research Abstract |
鉄を触媒としたクロスカップリング反応は,当該分野に於いて注目を集めている研究課題である.これまで,ハロゲン化アルケニルとアルキルグリニャール試薬との反応やハロゲン化アルキルとアリールグリニャール試薬との反応が多数報告されているが,その多くは溶媒効果や化学量論量以上の添加剤の効果に頼っており,触媒量の配位子により精密制御した例はほとんどない.これに対し申請者は,配位制御の概念のもと,フッ化鉄-NHCカルベン触媒によるビアリールカップリング反応と塩化鉄-TMEDA触媒によるアリールーアルキルカップリング反応の開発に成功した.今年度は,両触媒系の高効率化と汎用性の確立を目指して,錯体化学,計算化学,および分光化学的手法を用いた反応機構解析を行った.その結果,各々,2価のアリール鉄を活性種とした2価-3価あるいは2価-4価の触媒サイクルを経由して反応が進行していることが明らかとなった.前者は,ラジカル経由で酸化的付加が進行しており,sp3炭素-ハロゲン結合を選択的に切断する事が可能である.一方,後者は,通常の金属が炭素-ハロゲン結合に挿入する一般的な酸化的付加を経由しており,sp2炭素-ハロゲン結合を優先的に切断する.一連の反応機構解析を通じて得られた知見を基に塩化鉄-フェニレンジホスフィン錯体を合成し,これを用いた鉄触媒根岸カップリングおよび鈴木-宮浦カップリング反応の開発に成功した.更に,鉄触媒根岸カップリングを用いてパーフルオロアリール基をメソゲンとして有する液晶分子の短段階合成に成功した.
|
Research Products
(5 results)