2010 Fiscal Year Annual Research Report
直接的官能基化反応を基軸とする高効率的合成手法の開拓
Project/Area Number |
21750099
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
滝田 良 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (50452321)
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Keywords | 直接的アリール化反応 / パラジウム触媒 / ポリチオフェン / ホスフィン配位 |
Research Abstract |
直接的アリール化反応を基軸とするブロモチオフェン類の"直接的重合反応"の開発に取り組んだ。これまでに直接的アリール化反応を機能性分子合成へと応用した例は乏しく、特に実用的なレベルでの重合反応は皆無であった。 前年度の研究成果を基にさらに詳細な検討を行い、Herrmann-Beller錯体を触媒前駆体として、さらに二座配位も可能であろうと考えられるトリス(o-ジメチルアミノフェニル)ホスフィンを支持配位子として用いて詳細に条件を検討したところ、2-プロモ-3-ヘキシルチオフェンの重合反応が効率よく進行し、望みのP3HTを分子量約30,000、head-to-tail選択性98%で与えた。側鎖に酸素官能基を有するいくつかの基質においても対応するポリチオフェン類が効率的に得られることを見出している。 さらにこれまで直接的アリール化反応に関して副反応や機構等の議論は乏しかったことから、本重合反応は良いプローブになると考え、検討を行った。まずMALDI-TOF MSなどの解析からhead-to-tail選択性が反応の進行と共に向上すること、またやはり反応の進行に伴い、脱プロモ化されたポリマー鎖が得られてくることなどが明らかとなった。そこでさらにモデル基質を用いた解析を行ったところ、ホモカップリング反応に由来する副生成物の生成は反応の初期段階において特に顕著であること、反応が進行して基質の共役が伸びるにつれて望みのクロスカップリング反応の反応性が向上することなどを見出した。現在、さらに錯体化学的な観点からも解析を行っている。
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Research Products
(6 results)