2009 Fiscal Year Annual Research Report
ニッケル上での酸化的環化と金属置換反応を鍵とするアリルアミン類の新規合成法の開発
Project/Area Number |
21750102
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大橋 理人 Osaka University, 工学研究科, 助教 (60397635)
|
Keywords | ニッケル / 酸化的環化 / アルミニウム / 金属置換反応 / アリルアミン |
Research Abstract |
本申請研究では、0価ニッケル上でのアルキンとイミンの酸化的環化によって生じるアザニッケラサイクルに対し、トリメチルアルミニウム(AlMe_3)を作用させたところ、ニッケルからアルミニウムへの金属交換反応を経てアザアルミナサイクルが得られることを見いだした。さらに、触媒量の0価ニッケル存在下、アルキン、イミン、AlMe_3を反応させたところ、対応するアザアルミナサイクルが高収率で得られる触媒反応の開発に成功した。 得られたアザニッケラサイクルは、多くの生理活性物質に含まれるアリルアミン骨格を有する有機アルミニウム化合物であり、反応性に富むアルミニウム-炭素結合は、様々な求電子剤と反応可能であることが予想される。そこで、アザアルミナサイクルをプロトン(H^+)やハロゲニウムイオン等価体(X^+ ; X=Br, I)と反応させたところ、アリル位が水素化、およびハロゲン化された化合物へと定量的に変換されることを明らかにした。 触媒量のニッケルとアルキン、イミン、AlMe_3という3種類の出発物質から有機アルミニウム化合物(クラーク数が大きく且つ安価、しかも反応性に富む)としてアリルアミン誘導体を得ることができる本反応の脱離成分はエタンのみであり、反応の原子効率はきわめて高い。従って、グリーンケミストリーや元素戦略の観点から本触媒反応が達成できた意義は大きい。さらに、目的化合物から誘導される多種多様なアリルアミン類は多くの天然物や生理活性物質に含まれる重要な構成要素であることから、本研究成果は錯体化学の範疇に留まらず、有機合成化学および触媒化学の分野にも波及効果を与えるものであり、学術的な観点からもその意義は大きい。
|
Research Products
(27 results)