Research Abstract |
グアニジノジアゾニウム塩の調製法についての検討を行った。その結果,2-クロロ-1, 3-ジメチルイミダゾリニウムクロリドのアセトニトリル溶液にアジ化ナトリウムを0℃で加え,30分攪拌すると調製できることが分かった。さらにこうして合成したグアニジノジアゾニウム塩が1,3-ジカルボニル化合物に対する,良いジアゾ移動剤となることを明らかにした。一般に,2-ジアゾ-1.3-ジカルボニル化合物の合成にはトシルアジドを用いるレゲッツジアゾ移動反応が利用される,この反応では各種ジアゾ化合物が合成できるが,過剰量のトシルアジドや副生成物のスルホンアミドと目的のジアゾ化合物を分離することが困難なことが多い。一方,グアニジノジアゾニウム塩を用いたジアゾ反応では,観測される副生成物は1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンであるが,これは水溶性であり,一般に脂溶性のジアゾ化合物と容易に分離出来た。本ジアゾ化反応は各種1,3-ジカルボニル化合物(ジケトン,ケトエステル,ケトアミド,ジエステル,環状,非環状)に適用でき,汎用性が高いことがわかった。さらに,大平-ベストマン試薬の合成にも本グアニジノジアゾニウム塩を利用できることが分かった。一方,原料の2-クロロ-1,3-ジメチルイミダゾリニウムクロリドは湿気に敏感であり,やや取り扱いにくい化合物である。そこでより取り扱い化合物のスクリーニングを行う観点から,対アニオンを種々変えたところ,ジアゾニウム塩の反応性や結晶性がかわるとの初期的な知見を得た。
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