2009 Fiscal Year Annual Research Report
βーアルキルピロール類の実用的な革新的1段階合成法の開発
Project/Area Number |
21750107
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
土本 晃久 Meiji University, 理工学部, 准教授 (80313716)
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Keywords | 選択的合成・反応 / ルイス酸 / カルボニル化合物 / 3成分反応 / インジウム |
Research Abstract |
本研究では当初,求電子剤に対してα-配向性を示すピロール類のβ-位に多様なアルキル基を位置選択的に1段階で導入するための実用的な新しい手法を開発することを目的とした。まず,インジウムトリフリルアミド[In(NTf_2)_3,Tf=SO_2CF_3]を触媒に用いて2-デカノンとN-メチルピロールおよびトリエチルシランを反応させたところ,N-メチルピロールのβ-位の位置選択的な2-デシル化が進行し,目的のβ-アルキル体が収率92%で得られた。ここでは,対応するα-アルキル体は全く生成しない。この実験結果を基に,基質の適用範囲について詳細に調べたところ,多様なカルボニル化合物およびピロール誘導体が利用できることがわかった。研究代表者は,この研究に先立って,カルボニル化合物の代わりにアルキンをアルキル基供給源とするピロール類のβ-アルキル化を実現していたが,カルボニル化合物の反応には,アルキンの反応では導入不可能なアルキル基をピロール環に導入できる利点があり,極めて実用的であえると言える。また,トリエチルシランのようなヒドリド求核剤の他には,シアノトリメチルシラン・2,3-ジメチルチオフェン・4-ビニルアニソールといった炭素求核剤も利用可能であり,本反応は,多種多様なアルキルユニットを持つβ-アルキルピロールの合成を可能にする。最終的に,本研究開発を通して,ピロール環のβ-位に第1級・第2級・第3級全てのタイプのアルキル基を完全な位置選択性で導入することに成功した。この反応は,アルキンをアルキル基供給源とする反応よりも遥かに使い勝手がよいと言える。
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