2009 Fiscal Year Annual Research Report
金属触媒反応における「金属外圏制御」設計戦略の開拓
Project/Area Number |
21750108
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
遠藤 恆平 Waseda University, 理工学術院, 助教 (70454064)
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Keywords | 反応有機化学 / 合成有機化学 / 選択的合成・反応 / 有機金属触媒 / 不斉合成 / 触媒設計・反応 |
Research Abstract |
本研究では、金属錯体の金属中心制御ではなく、その周辺環境「金属外圈」を調製することで新たな触媒機能発現を狙った。研究実施計画に記したように、平成21年度は,私が見出した独自の金属錯体設計法に基づき研究を展開した。 具体的には銅原子2つ,亜鉛原子2つを有する分子錯体が、立体選択的炭素―炭素結合生成反応に極めて高い触媒活性を示し、ほぼ完全な立体制御を実現した。この触媒機能は従来に報告されている方法論では達成されていない、優れた特性である。本成果をドイツの著名雑誌に投稿し採択された。この4つの金属原子を有する錯体を基盤として、現在、さらに研究を展開している。たとえば、銅原子に代わりパラジウム原子2つ、亜鉛原子2つを有する錯体が、優れた触媒機能を発現することを見出している。さらに、錯体の骨格を変えることで、金属錯体の設計としては類例のない、新しい「金属外圏」制御法を見出した。これらの成果は平成22年度に公開する予定である。以上のように、本研究提案は、確実に新しい成果を上げている。 また、「金属外圏」制御を目指す研究の過程で、二つの反応活性点を有する化合物の簡便合成法を発見した。本成果は論文として既に掲載されている。現在、この新規化合物を用いる新しい反応設計に取り組んでいる。既にいくつかの興味深い成果が得られており、平成22年度に公開する予定である。この成果から新しい研究提案に向けた研究開発に着手している。 以上のように、本研究提案は、あらかじめ予期した通りの興味深い成果へとつながり、同時に、新しい研究シーズを生み出している。平成22年度に、さらなる研究展開に取り組み、次の研究提案へとつなげていく予定である。
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Research Products
(9 results)