2010 Fiscal Year Annual Research Report
金属触媒反応における「金属外圏制御」設計戦略の開拓
Project/Area Number |
21750108
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
遠藤 恆平 早稲田大学, 高等研究所, 助教 (70454064)
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Keywords | 反応有機化学 / 合成有機化学 / 選択的合成・反応 / 有機金属触媒 / 不斉合成 / 触媒設計・反応 |
Research Abstract |
本研究提案に基づき設計した,複数のパラジウム原子と亜鉛原子原子を有する新規錯体触媒を用いるオキサビシクロ環の有機亜鉛試薬による不斉開環反応が高効率的かつ高立体選択的に進行することを見出しOrganic Lettersに速報として報告した.本反応は様々な生理活性物質のコア構造の一つであるベンゼン環が縮環したシクロヘキサン骨格の不斉合成法として知られている.我々が開発した触媒が3つのパラジウム原子と3つの亜鉛原子を有することが質量分析測定により明らかになった.また本研究提案から発展した,2つのホウ素原子を1つの炭素原子上に有するジボリルアルカン誘導体を用いる反応開発に成功した.Journal of Organic Chemistryに掲載された反応は,ほぼ完全な立体制御のもとで4置換アルケニルホウ酸エステルを与え,tamoxifen誘導体のなかで最も高い抗癌活性が報告されている化合物の高効率的合成法を初めて確立した.次にJournal of the American Chemical Societyに掲載された成果は,ジボリルアルカンを用いる多置換sp3炭素上における世界初の室温鈴木宮浦クロスカップリング反応である.従来は高温加熱条件が必要であり様々な副生成物の生じる反応が室温条件下で速やかに進行する.さらにジボリルアルカンの一つのホウ素原子のみ消費されることで,モノボロン酸エステルのみを生成物として与える高い化学選択性が有用である.本反応開発により,これまで保護しなければ共存不可能であったホウ素部位が保護せず共存可能であることを示した.以上の結果から本研究提案は多くの新規性を生み出すと共に次の発展研究へと大きく飛躍する萌芽的成果につながった.
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Research Products
(11 results)