2009 Fiscal Year Annual Research Report
コアにらせん高分子鎖を有する機能性ミセルの創成と応用
Project/Area Number |
21750118
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
前田 勝浩 Kanazawa University, 物質化学系, 准教授 (90303669)
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Keywords | らせん / キラリティー / ミセル / ブロック共重合体 / 円二色性 |
Research Abstract |
本年度は、疎水性の動的らせん高分子鎖と親水性の高分子鎖からなる新規な両親媒性ブロック共重合体を合成し、コアに動的らせん高分子鎖を有するミセルの構築を行った。さらに、ミセルのコアでの動的らせん高分子鎖の不斉増幅現象について調べた。 動的らせん高分子鎖としてイソシアナートモノマーのアニオン重合を行い、開始末端に光学活性基、停止末端にエチニル基を導入したポリイソシアナートを合成した。親水性高分子鎖として片末端にアジド基を有するポリエチレングリコールを別途合成し、臭化銅を触媒に用いて両者をクリック反応することにより、新規な両親媒性ブロック共重合体(poly-1)を合成することに成功した。Poly-1のTHF中での円二色性(CD)スペクトルの測定を行ったところ、ポリイソシアナート主鎖の吸収領域に一方向巻きに片寄ったらせん構造に由来する誘起CDが観測された。そのTHF溶液に水をゆっくりと添加し、THF-H_2O(1/1)混合溶媒中でCD測定を行ったところ、THF中の約2倍の強度のCD吸収を示した。また、その溶液からTHFをほぼ完全に除いても、均一な溶液のままであり、CDにもほとんど変化は見られなかった。以上の結果から、poly-1が水溶液中ではミセルを形成し、高分子鎖が密集したミセルのコア内部では、高分子鎖間の相互作用によりポリイソシアナート主鎖のらせん反転が起こりにくくなることで不斉増幅が起こることが明らかになった。 来年度は、様々なキラル化合物をミセルのコアに取り込ませることにより、コア部の光学不活性なポリイソシアナートの主鎖に一方向巻きに片寄ったらせん構造が誘起されるかどうかをCDスペクトル測定により調べ、高感度なキラリティーセンシングが可能かどうかについて詳細に検討する。また、キラルな超分子会合体を形成する泥共役高分子鎖をコアに有する新規ミセルを合成し、ミセルのコア空間内での自発的な超分子会合体の形成挙動について詳細に検討を行い、ゲスト分子取り込みによる会合体の構造変化を利用した機能発現を目指す。
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