2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21750121
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
河内 岳大 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教 (70447853)
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Keywords | 包接錯体 / フラーレン / 機能性高分子 / らせん / 立体規則性 / 構造制御 / 分子配列 |
Research Abstract |
汎用高分子であるポリメタクリル酸メチルのシンジオタクチック体(st-PMMA)は、トルエン中でらせん構造を形成し、その内孔にC_<60>やC_<70>などのフラーレン類を取り込み、結晶性の包接錯体を形成する。本年度は、様々な分子量(Mn=5,000~390,000)および立体規則性(rr=58~96%)を有するst-PMMAを合成し、高分子鎖の一次構造がフラーレン包接量に及ぼす影響について検討した。その結果、トルエン中、ポリマー濃度2~10mg/mLにおいて、Mn=5,400、rr=89%及びMn=350,000、rr=58%のst-PMMAではC_<60>との包接錯体の形成は見られなかったのに対し、Mn=39,000、rr=89%及びMn=6,000、rr=94%のポリマーでは包接錯体の形成が確認され、分子量、立体規則性共に錯体形成に大きく影響することがわかった。 我々は、C_<60>とC_<70>の混合溶液中でst-PMMAと錯体を形成させた場合、C_<70>が優先的にst-PMMAと包接錯体を形成することを既に明らかにしている。本年度はさらに研究を進め、そのサイズ識別のメカニズムについて検討した。st-PMMA/C_<60>包接錯体ゲルに少量のC_<70>を添加する滴定実験において、包接されたC_<60>量に対して僅か1wt%のC_<70>を滴下するだけで、ほぼ全てのC_<60>(99.7%)が放出されることがわかった。これは、st-PMMAらせんが協同的に構造を変化させていることを示しており、酵素などにみられるinduced-fit機構により分子識別能が発現していることを示唆する結果である。 また、C_<60>存在下において、st-PMMAはアセトニトリルやアセトンなどの極性溶媒中であっても局所的にらせん構造を形成し、包接錯体を形成することを見出した。さらに、新規ならせん高分子の開発を目指し、ビニルリン酸エステルの立体特異性アニオン重合を試みた。その結果、耐熱性及び耐溶剤性が向上したイソタクチック含量の高いポリビニルリン酸エステルの合成に成功した。
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Research Products
(5 results)