2009 Fiscal Year Annual Research Report
精密らせん高分子合成法に立脚した高効率発光・電荷輸送・エネルギー捕集材料の開発
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21750122
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長田 裕也 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (60512762)
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Keywords | らせん高分子 / ポリキノキサリン / イミダゾリウム塩 / 構造色 / キラルネマチック液晶 / 自己組織化 / リビング重合 / イソニトリル |
Research Abstract |
近年、有機電子材料を応用した電子・光デバイスの研究開発が活発に行われている。これらの有機半導体デバイスは、軽量かつフレキシブルに成型することができるなど、多くの利点を有している。一方で、タンパク質やDNA等の生体高分子は、精緻な高次構造制御により情報伝達・分子認識・物質輸送などの高度な機能発現を達成している。このような概念に基づいた有機電子材料の高機能化についても検討が進められており、繰り返し単位のシークエンス制御や一方向巻きらせんへの構造制御によって、新たな電子・光機能の発現が試みられている。本研究では、らせん配列の高度制御に基づいた有機電子材料の高機能化に関する方法論の確立を目的として研究を行なった。具体的には、まず初めに側鎖にイミダゾリウム塩を有するポリキノキサリンの合成を行い、続いて得られた新規ポリキノキサリンの電子・光機能評価について検討した。クロロアルコキシ基とキラルアルコキシ基をそれぞれ有するジイソニトリルベンゼン誘導体を合成し、有機ニッケル錯体を開始剤として共重合を行うことで、側鎖にクロロアルキル基を有し、主鎖にらせん不斉を有するポリキノキサリンを合成した。重合反応はリビング的に進行し、開始剤とモノマーの比によって分子量を精密に制御することができた。さらに高分子反応によってイミダゾリウム塩構造の側鎖への導入に成功した。得られたポリマーのクロロホルム溶液は円偏光二色性を示し、そのスペクトルから主鎖は左巻き構造(らせん方向過剰率:84%)をとっていることが分かった。このポリマーのフィルムを作成したところ青色の構造色を示し、紫外可視反射スペクトル測定の結果、400nm付近に明確な選択反射を示した。これは、導入したイミダゾリウム塩によってポリマー鎖間の相互作用が強まることで自己組織化し、キラルネマチック液晶性を発現したためであると考えられる。
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Research Products
(2 results)