2010 Fiscal Year Annual Research Report
精密らせん高分子合成法に立脚した高効率発光・電荷輸送・エネルギー捕集材料の開発
Project/Area Number |
21750122
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長田 裕也 京都大学, 工学研究科, 助教 (60512762)
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Keywords | らせん高分子 / ポリ(キノキサリン-2,3-ジイル) / イミダゾリウム塩 / 構造色 / 選択反射 / 自己組織化 / 不斉らせん / 光学特性 |
Research Abstract |
近年、電子・光デバイスを指向した有機機能材料に関する研究開発が活発に行われている。これらは従来の無機系材料と比較して、軽量かつフレキシブルに成型することができ、我々の未来の生活を支える重要な技術である。一方で、タンパク質やDNA等の生体高分子は、精緻な高次構造制御により情報伝達・分子認識・物質輸送などの高度な機能発現を達成している。生体高分子では一次構造制御に加え、さらに二次構造であるらせんの巻き方向・ピッチを制御することでさらに高次構造制御を行っている。本研究では、らせん構造の高度制御に基づいた高機能材料の開発を目的とし、一方向巻きらせんポリマーとしてポリ(キノキサリン-2,3-ジイル)に着目し研究を行なった。まず、キラル側鎖を有するポリキノキサリンに対して、機能性部位としてイミダゾリウム塩部位を側鎖に導入したところ、溶液状態での紫外可視吸収スペクトルは可視領域に吸収を持たないが、フィルム状態では青紫色の選択反射を示すポリキノキサリンの合成に成功した。これは、側鎖として導入したイミダゾリウム塩部位によって自己組織化が促進され、コレステリック状の構造が誘起された為であると考えられる。さらに検討を進めた結果、イミダゾリウム塩部位に代えてクロロオクチルオキシ基を側鎖として導入することで、安定な構造色を発現するポリキノキサリンの合成に成功した。このポリキノキサリンについて、キラル側鎖を部分的にアキラルな側鎖に代えることで選択反射波長を青色から、緑色、赤色へと制御可能であることも見出した。この構造色は常温・空気中で長期間安定であり、表示材料や光学材料として有望であると考えられる。
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