2010 Fiscal Year Annual Research Report
電荷分離促進ヘテロ接合硫化物半導体ナノ粒子の合成と可視光水素発生への応用
Project/Area Number |
21750132
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金原 正幸 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教 (40375415)
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Keywords | 半導体ナノ粒子 / 電荷分離 / 異方性相分離ナノ粒子 |
Research Abstract |
波長制御可能な表面プラズモン共鳴(SPR)は伝導電子を有する無機ナノ粒子の代表的な特徴であり、非線形光学効果およびナノ粒子近傍に生じる光電場増強場の利用等の研究が進められている。これまで、SPRを有するナノ粒子として主に金や銀等の貴金属ナノ粒子が用いられてきた。しかしながら、貴金属は高価であり、さらに酸化に対する化学的耐久性が乏しい問題点を有している。電磁波によって誘起されるSPRは伝導電子を有するすべての物質が有する性質であり、その共鳴波長は伝導電子密度に依存する。我々は新規プラズモニックナノ粒子の開発をめざし、ナノ粒子中の伝導電子密度の制御というこれまでに無いアプローチを検討した。本研究では組成に応じた自由電子密度を有している導電性酸化物に着目し、代表的な導電性酸化物である酸化インジウムスズ(ITO)ナノ粒子をターゲット化合物としSPR波長制御を試みた。 ITOナノ粒子は金属前体にインジウム(III)アセチルアセトナト、2-エチルヘキサン酸スズ(II)を用い、スズ前駆対比を0-40mol%の範囲で制御することにより、スズドープ量を0-30%の範囲で制御可能な比較的単分散なITOナノ粒子の合成に成功した。得られたITOナノ粒子は、近赤外領域にスズドープ量に応じたSPR吸収を示し、ドープ量を3%から10%まで増加させるにしたがいSPRピークは2200nm超から1618nmまで短波長シフトした。これを超えるドープ量領域ではドープ量の増加にともないSPRピークは長波長シフトした。これはITOナノ粒子のSPR波長が電子密度によって制御可能であることを示し、貴金属以外のナノ構造においてSPR波長を制御した初めての例である。
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