2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21750134
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 宏 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 特任講師 (90506734)
|
Keywords | 分子認識 / 人工核酸塩基 / ヘテロ環 / 含ホウ素化合物 / 蛍光プローブ |
Research Abstract |
本研究は、分子骨格中にホウ素一窒素結合(B-N)を有する特異な核酸塩基類縁体の合成を行い、その物性を明らかにする事を目的としている。本年度は、プリン環を有するアデニン前駆体であるヒポキサンチンのBNアナログ体(HBN)、ピリミジン塩基であるウラシルのBN-アナログ体(UBN)の開発を行った。 HBNの合成は、トリフルオロボランとアミジン誘導体との環化反応により、プリン環の5員環部位を先に形成し、次いでホウ素上のフッ素をアミンに置換した後に分子内環化反応により6員環を形成する経路で合成した。現在までに、2-Ph-9-PMB-HBNの生成が示唆きれている。 昨年度合成したチミンのBN-アナログ体(TBN)と同様の手法を用いてビウレットと1置換ホウ素と一段階反応よりホウ素原子上にメシチル基及びテキシル基を有するBN-ウラシル(MesUBN.ThxUBN)の合成を行った。ThxUBNは種々のスペクトルよりその生成が示唆されたが、溶解性及び安定性が低く、単離には至らなかった。一方、MesUBNは空気中で極めて安定であり、単結晶X線構造解析により、分子構造を決定することができた。また、MesUBNの1,5-位をメチル基で置換したmlMesTBNも同様の方法で合成した。相補的な水素結合を形成するアデニン誘導体及び2,6-ジアミノピリジンとの会合定数を求める事により、このBN置換核酸塩基が、天然の核酸塩基と同程度の水素結合能を有する事を明らかにした。これらのBN-人工核酸塩基は、環構造に組み込まれたホウ素原子に由来する特異な発光を示すことから新しい核酸塩某プローブとしての応用が期待される。
|