2010 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光プローブ・デンドリマー複合体の創製と、細胞および動物個体イメージングへの応用
Project/Area Number |
21750135
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺井 琢也 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (00508145)
|
Keywords | 蛍光 / デンドリマー / イメージング / ケミカルバイオロジー / pHセンサー / 量子化学計算 |
Research Abstract |
本年度の研究ではまず、デンドリマーとの結合に向けて、昨年度の研究で見出した新規アミノ基導入BODIPYの性質についてより詳細な検討を行った。具体的には、蛍光団の2位だけでなく3位にアミノ基を導入した誘導体の合成を行った。その結果、予想に反して3位アミノ誘導体は通常のBODIPYとほぼ同様の吸収・蛍光特性を有しており、更にその特性は溶媒にほとんど依存しないことが明らかになった。また、この原因を探るべく量子化学計算を行ったところ、発光に関与しないエネルギー準位との位置関係が重要であることが示唆された。 続いて、上記の特性を生かした機能性プローブの開発に向けた基礎検討を行った。具体的には、2位のアミノ基に種々のアルキル基を導入した化合物を合成し、それらのpH感受性を調べた。その結果、通常のpH感受性蛍光プローブと同様にアルキル基の長さに応じてpK_a、が変化し、いずれの場合も酸性側における吸収スペクトルの先鋭化と短波長シフト、蛍光増大が観察された。更に、亜鉛イオンや銅イオンに対するキレーター構造を導入した誘導体も合成し、金属イオンに対する応答性を検討した。いずれの場合にも標的イオン存在下で吸収もしくは蛍光スペクトルが変化し、プローブとして十分に機能することが確かめられた。 最後に、水溶性デンドリマーの合成を行った。デンドロンとしてはベンジルエーテル誘導体を選択し、末端には多数のヒドロキシ基を導入した。合成の一般性を高めるため、コアである蛍光団との結合は終盤においてS_N2反応により行うこととした。今後、BODIPYを結合させたデンドリマーの性質について詳細に検討を行う予定である。
|