2010 Fiscal Year Annual Research Report
化学修飾グラフェンシートを支持材とした単分子構造・動態解析法の開発
Project/Area Number |
21750136
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原野 幸治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (70451515)
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Keywords | ナノ材料 / 電子顕微鏡 / 分析科学 |
Research Abstract |
電子顕微鏡を用いた単一分子あるいは分子集合体の構造解析や動的挙動の追跡を行う為には,分子の固定化に適した適切な材料開発が必要となる.本研究ではカーボンナノチューブ(CNT)やカーボンナノホーン(CNH)を構成するグラフェンシートの透過型電子顕微鏡観察条件下における透明性を利用し,単層グラフェンシートへの化学修飾を基盤とした有機分子のナノレベルにおける挙動を追跡した.結果を以下に示す.(1)パーフルオロアルキル鎖のコンホメーション解析:単層CNTにパーフルオロアルキルフラーレンを内包させることにより,パーフルオロアルキル鎖を安定に観察することに成功した.数十分子について解析した結果,パーフルオロアルキル鎖は伸びたall-antiのコンホメーションが優勢であり,一方でアルキル鎖についてはgaucheを含む分子がほとんどであった.これらは過去の理論計算および実験結果と一致しており,透過型電子顕微鏡による有機分子の構造に対する準統計的解析が可能であることを初めて示した.(2)結晶成長におけるエンブリオ構造の解明:アミノ化CNH上に1,3,5-トリフェニルベンゼン誘導体を結合し,これをトリフェニルベンゼンの過飽和溶液に加えて再結晶することで,CNH上に導入した分子を種とした結晶化が進行した.得られた結晶のサイズを光学顕微鏡および透過型電子顕微鏡で求めたところ,サブミリメートルサイズのマイクロ結晶と,種分子を含む数分子-数十分子からなるナノサイズ集合体のみが観測され,中間のサイズの結晶は観察されなかった.この結果はGibbsの提唱した結晶成長の理論と一致しており,観察された小数分子の会合体は結晶成長の核形成以前の過程にて生じるエンブリオ構造であるといえる.さらに詳細な構造を得る為に電子顕微鏡像に対するシミュレーションを行い、エンブリオがマイクロ結晶とは全く異なる等方的な構造をとることもわかった.
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Research Products
(3 results)