2009 Fiscal Year Annual Research Report
ロタキサン形成をトリガーとする糖認識ポリマーの高次構造・機能制御
Project/Area Number |
21750139
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
阿部 肇 University of Toyama, 富山大学・大学院・医学薬学研究部(薬学), 准教授 (10324055)
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Keywords | らせん / 円二色性 / 糖認識 / ロタキサン / 協同効果 |
Research Abstract |
ロタキサンの超分子化学を利用し、分子認識機能を制御できる人工ホスト高分子を開発することが本研究の目的である。申請者が研究を続けている、糖を認識する人工ホスト高分子「エチニルピリジンポリマー」に新たにリング部位を導入する分子設計の概念に基づいて、本年度はリング部位としてアザクラウン環を導入した人工ホスト高分子の合成と機能評価を試みた。 2,6-ジブロモピリジンから出発して多段階合成によりピリジン環が3個並んだビルディングブロックを得た。この3量体は中央のピリジン環上にアザクラウン環を有し、薗頭反応により重合させ、ピリジン環3個ごとにアザクラウン環1個を持つアザクラウン誘導ポリマーを得ることができた。このポリマーの塩化メチレン溶液に対してオリゴアンモニウムを軸分子として加えたところ、ロタキサン構造の形成により、エチニルピリジンポリマー主鎖のらせん型高次構造が安定化されることが紫外吸収スペクトル上の淡色効果により示された。この状態へ糖質をゲストとして加えると、らせん型高次構造にキラリティーが誘起されて特徴的な円二色性が現れた。これは、ポリマーと会合した糖のキラリティーがらせん構造のキラリティーへ転写されたことを示す。会合作用を定量的に評価するために滴定実験を行い、軸分子の添加によって糖との会合定数が格段に向上していることを見出した。すなわち、ロタキサンの形成が糖質の分子認識について正のアロステリズムをもたらすことが確認された。
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Research Products
(4 results)