2010 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッドナノチューブを軸とした新規物質の創製と構造・物性評価法の開発
Project/Area Number |
21750142
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北浦 良 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (50394903)
|
Keywords | カーボンナノチューブ / 透過型電子顕微鏡 / 電子線回折 / 電気二重層トランジスタ / 磁気物性 |
Research Abstract |
研究では、化学気相成長法による高純度、高品質カーボンナノチューブの合成を行うとともに、合成したカーボンナノチューブが有する1次元ナノ空間をナノ反応場として用いることで、さまざまな低次元ナノ構造体を系統的に作り出すことを試みた。その結果、太さが原子1つ分でしかない金属ワイヤをはじめとして、通常の反応器を用いることでは合成が極めて困難な物質を系統的に作り出すことに成功した。また、これらの物質について高分解能透過型電子顕微鏡を用いた構造研究を行ったところ、太さが2原子の金属ワイヤについて、らせん構造の動的生成・消滅を見出した。これは、円筒構造と球状の原子というらせんを生み出す要素が何も無いように見える場合でも、らせん構造が自然に出てくるということを原子スケールで直接見出した例として特筆される。 また、合成したこれらの新規物質について、構造物性相関をより精密に議論するため、透過型電子顕微鏡を用いた構造解析とデバイス特性測定を始めとした物性計測を連動させた手法の開発を行った。具体的には、シリコン基板に幅0.5~5マイクロメートルの貫通チャネルを作成し、その両側に白金電極を配置したデバイスの作成を行った。この貫通チャネルに単一のナノチューブを置くことで、TEMによる構造解析が可能となり、かつ電子物性の計測も可能となる。本手法をナノチューブに適用することで、カイラリティの同定と電気二重層トランジスタ特性の測定を同一のナノチューブに行うことに成功した。今後は、この手法を作成したさまざまな低次元ナノ構造体へ適用していく予定である。
|