2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21750143
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
山本 靖 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教 (30335088)
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Keywords | リン脂質単分子膜 / 滴下法 / 顕微鏡観察 / 表面張力法 / 水平型QCM・QCI装置 / エンフルラン / 界面粘性増加 / 特異濃度点 |
Research Abstract |
平成22年度の研究計画に従い、以下の研究を行なった。 【混合膜の集合形態の観察】 膜物質としてdipalmitoyl phosphatidyl choline (DPPC)とCholesterol (Chol)を選び、DPPCとCholを任意の割合で調整した膜溶液を作成した。26℃において、滴下法により水面上に作成したDPPC-Chol混合単分子膜の形態観察を、表面張力法・蛍光顕微鏡・ブリュースター角顕微鏡を用いて行なった。表面張力において、Chol割合の増加に伴う分子占有面積の減少を観測した。理想混合から予想される占有面積よりも小さいことが分かり、滴下法においてもCholの凝集効果を見出した。さらに、占有面積の減少量が圧縮法の場合よりも2倍程度大きいことが分かった。滴下法で作成したDPPC単分子膜は膨潤な膜を形成することから、Cholの凝集効果が顕著に現れたものと考えられる。DPPC:Chol=8:2の混合単分子膜の顕微鏡観察において、膨張→凝集に伴う全体に窪みのある特異的な膜形成過程が、DPPC単分子膜よりも大きな分子占有面積より起きることが分かり、前述のChol凝集効果を支持する結果が得られた。 【混合膜への麻酔薬の作用効果】 水面上に作成したDPPC:Chol=8:2の混合単分子膜への麻酔薬エンフルランの作用効果(濃度依存性)を、水平型QCM・QCI測定装置(固有振動数:6MHz、感度;±0.5Hz(QCM)、±0.02Ω(QCI))を用いて行なった。エンフルラン濃度の増加に伴い、QCMでは振動数の減少(吸着量の増加)を、QCIでは抵抗値の増加(界面粘性の増加)を観測した。DPPC単分子膜と比較をしたところ、QCM・QCI共に変化量が小さい結果となった。また、QCIでは、変化量の収束→不連続変化ではなく、不連続変化のみが観測された。DPPC-Chol混合単分子膜は、Cholの凝集効果により流動性が失われた膜が形成されていることから、エンフルラン分子が膜/水界面に吸着しにくくなったものと考えられる。これから、エンフルラン分子は膜/水界面の流動性が保持されている部分に選択的に吸着することが示唆された。
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Research Products
(12 results)