2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21750143
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
山本 靖 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教 (30335088)
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Keywords | リン脂質単分子膜 / 膜溶液滴下法 / 顕微鏡観察 / 表面張力法 / 水平型QCM・QCI装置 / イソフルラン / 界面粘性変化 / 膜流動性 |
Research Abstract |
平成23年度の研究計画を基に、以下の研究を行なった。 【種々の分子膜の集合形態の観察】 膜物質として、dimylistoyl phosphatidyl choline (DMPC)を選んだ。26℃において、滴下法により水面上に作成したDMPC分子膜の形態観察を、表面張力法・ブリュースター角顕微鏡を用いて行なった。表面張力法において、膜作成開始直後から表面張力値が緩やかに増加して、膜が形成されていくことが分かった。この形成過程は典型的な膨張膜の現象である。またブリュースター角顕微鏡において、膜の形成過程に伴い、画像全体が明るくなっていった。DMPC単分子膜が徐々に形成されていることを示す結果であり、表面張力法の結果とも一致した。平成21年度計画で実施したDPPC単分子膜の形成過程と異なっており、膨張膜→準凝集膜へと形態変化するDPPC単分子膜と膨張膜のみを示すDMPC単分子膜の違いが、ブリュースター角顕微鏡でも明確となった。 【分子膜への麻酔薬の作用効果】 水面上DPPC単分子膜への麻酔薬イソフルランの作用効果(濃度依存性)を、水平型QCM・QCI測定装置(固有振動数:6MHz、感度:±0.5Hz(QCM)、±0.02Ω(QCI))を用いて行なった。イソフルランは平成21・22年度計画で使用したエンフルランと構造異性体の関係にある。イソフルラン濃度の増加に伴い、QCMでは振動数の減少(吸着量の増加)を観測した。またQCIでは抵抗値の増加(界面粘性の増加)を観測した。これらの結果は平成21年度に行なったDPPC単分子膜へのエンフルラン作用効果と同様のものとなったが、吸着量・界面粘性変化量どちらも、エンフルランより小さなものとなった。イソフルランはエンフルランと比較して、分子内において疎水性部分と親水性部分が明確に分離しておらず、この分子的性質が膜/水界面への吸着能を減少させたものと考えられる。これから、麻酔薬自体の物性(疎水性・親水性)が膜/水界面挙動を変化させるのに重要なポイントであることが分かった。
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Research Products
(12 results)