2009 Fiscal Year Annual Research Report
フォトクロミズムに伴う幾何構造変化を利用した単一分子蛍光スイッチと非破壊読み出し
Project/Area Number |
21750149
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
深港 豪 Hokkaido University, 電子科学研究所, 助教 (80380583)
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Keywords | フォトクロミズム / 蛍光 / 単一分子 / 幾何構造 |
Research Abstract |
本研究は、フォトクロミズムに伴う幾何構造変化を利用した単一分子レベルでの蛍光スイッチングおよび非破壊蛍光読み出しの実証を目指すものである。 本年度はフォトクロミズムに伴い可逆的にその幾何構造を変化させる蛍光性フォトクロミック分子の設計・合成に取り組んだ。具体的には、酸化されたチオフェン環をアリール部位として有する不可視型ジアリールエテン分子の反応点炭素に強い蛍光性を示すペリレンビスイミド分子を共役が繋がる形で導入した分子と共役が切れる形で導入した分子を設計・合成した。合成した分子は可逆的なフォトクロミズムを示すことが確認されたが、反応点に共役が繋がる形で色素を導入した分子はそのフォトクロミズムに伴い、その色素自身の吸収および蛍光特性を大きく変化させることが明らかとなった。一方、共役が切れる形で色素を導入した分子は、そのフォトクロミズムに伴い蛍光特性が変化しないことが認められた。このことから分子内エネルギー移動や分子内電子移動による蛍光消光を完全に回避するための分子設計に対する指針を得ることができた。しかしながら、その分子は蛍光ユニットからジアリールエテンユニットの三重項にエネルギーが移動し、その状態から光閉環反応が起こる性質を有することが明らかとなった。この現象は光反応としては興味深いものであるが、本研究目的である非破壊的な蛍光読み出しを達成するうえでは弊害となる。本研究目的を完全に満たすためには、この三重項を経由して起こる光閉環反応を回避することが不可欠であることが明らかとなった。
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Research Products
(8 results)