2010 Fiscal Year Annual Research Report
フォトクロミズムに伴う幾何構造変化を利用した単一分子蛍光スイッチと非破壊読み出し
Project/Area Number |
21750149
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
深港 豪 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (80380583)
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Keywords | フォトクロミズム / 蛍光 / 単一分子 / 幾何構造 / 非破壊読み出し |
Research Abstract |
フォトクロミズムに伴い可逆的にその幾何構造を変化させる蛍光性フォトクロミック分子の設計・合成に取り組んだ。これまでに、酸化されたチオフェン環をアリール部位として有する不可視型ジアリールエテン分子の反応点炭素に蛍光性ペリレンビスイミド色素を導入した分子が、蛍光ユニットからジアリールエテンユニットの三重項にエネルギー移動を起こし、その状態から光閉環反応が起こる問題点が明らかとなっている。本年度はその問題を解決するために、導入する蛍光色素のエネルギーレベルを変化させた種々の分子を合成し、光異性化反応と蛍光特性に及ぼす影響を詳細に検討した。三重項からの光閉環反応は導入する蛍光色素からのエネルギー移動により誘起されており、ジアリールエテンユニットと蛍光色素の相対的なエネルギーレベルを最適化することでその問題を回避できるという結論が最終的に得られ、より長波長側に吸収および蛍光バンドを有する置換型ペリレンビスイミドをS,S-ジオキシド型ジアリールエテンの外側に導入した分子を合成した。合成した分子は可逆的なフォトクロミズムを示し、蛍光読み出しに際して光異性化反応を全く起こさないことが確認された。この結果は、三重項からの光異性化反応のプロセスを完全に回避し、昨年度の研究における課題を克服できていることを示している。この特性を応用し、電子移動による蛍光スイッチングおよび非破壊読み出しを検討した結果、分子集団系および単一分子系のどちらにおいても、効率良い蛍光スイッチングならびに非破壊蛍光読み出しを達成できた。この結果は分子1個の蛍光特性を光で自在に制御した初めての例であり、大変意義深いものである。この結果に基づき、反応点にこの蛍光色素を導入した分子の開発を現在進めている。
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Research Products
(10 results)