2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21750154
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
佐々木 真一 Nagahama Institute of Bio-Science and Technology, バイオサイエンス学部, 講師 (50317294)
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Keywords | クロロフィル / クロリン / 光合成色素 / サーモクロミズム |
Research Abstract |
代表的な天然色素であるクロロフィル-aを出発原料とした機能性色素分子の開発例として、「温度変化に対して可逆的に1分子内で閉環構造を形成し、色調変化としての応答を引き起こす分子スイッチ」の設計と合成を行った。メチルピロフェオフォルバイド-aの3位を既報に従いトリフルオロアセチル基に変換した後、17位のメチルエステルに対してスズ触媒を用いたトランスエステル化反応を行い、末端にBOC保護したアミノ基をもつドデカメチレン鎖を導入した。最後に酸処理で保護基をはずすことにより、長鎖メチレン末端にアミノ基を有するセンサー分子を合成した。作製した機能性色素は分子内で可逆的な閉環構造をとることが1H-NMRから確認され、またTHF溶液として温度変化を行ったところ高温では茶色、低温では紫色を示すことが分かった。以上のことから、「分子内でのブリッジ形成を伴うスイッチ機能の発現」および「温度刺激による可逆的な色調変化」という二つの超分子としてのコンセプトを実現することができた。超分子機能を有するクロロフィル誘導体の合成においては自己会合挙動を示すモデル化合物が数多く報告されているが、本研究で開発したセンサーは分子のon-off機能がシクロファン形成を伴う構造有機化学としての面白さ、さらにはサーモクロミック色素自体の報告例が比較的限られていることを考えると、クロロフィル化学の分野に天然色素の新たな応用を示す意義深い例であると考えられる。
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