2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21750154
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
佐々木 真一 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 講師 (50317294)
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Keywords | クロロフィル / クロリン / 光合成色素 |
Research Abstract |
天然の光合成色索であるクロロフィルを原料とした機能性色素の開発として、光を効率よくセンシングできる誘導体(太陽電池の増感色素)の設計・合成・特性評価を行った。クロロフィル-aの脱金属とエステル交換により得られるメチルフェオフォルバイト-aを原料としてアルカリ条件下で加水分解・縮合させることにより、天然のクロリン環をパープリンに変換して、長波長領域までの光吸収能と色素骨格の安定性を持たせた。さらに3位のビニル基を酸化開裂してホルミル基にした後、Wittig反応によりt-ブチルエステルを導入し、つづいて酸処理することで、パープリン環のy軸上にビエル基を介して共役するかたちでガルボン酸部位を導入できた。また中心に亜鉛を挿入した金属錯体もあわせて合成した。得られた新規色素を酸化チタン上に固定し色素増感太陽電池での光電変換効率を調べたところ、フリーベース体の電子注入はLUMO+1から起こり効薬は0.10%にとどまったものの、亜鉛錯体はLUMOから電子注入されるため5.1%と高い効率が得らることが分かった。近赤外まで吸収をもつ増感色素の合成に成功し電子注入メカニズムを明らかにできたことから、本研究成果は太陽電池の色素開発に方向性を示す重要な成果であると考えられる。 一方で、より長波長域の可視光センシングを目的として、パイ共役拡張型クロロフィル類の合成ルート探索を行った。3位にアセチレン部位を有するクロリンとヨードベンゼン類や他のアセチレン化合物とカップリング反応の条件を検討することにより、一連の誘導体を合成することに成功し、分光学的データの収集を行った。アセチレン架橋クロリン二量体は696nmにまで吸収極大が長波長シフトしたことから、今後の有機薄膜太陽電池への応用が期待される。
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