2010 Fiscal Year Annual Research Report
π共役系素子を基盤とした電荷積層型ソフトマテリアルの創製
Project/Area Number |
21750155
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
前田 大光 立命館大学, 薬学部, 准教授 (80388115)
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Keywords | π共役系 / アニオン認識 / 平面状カチオン / ソフトマテリアル / ピロール誘導体 |
Research Abstract |
本研究課題では独自に開発した平面性π共役系アニオンレセプター(ジピロリルジケトンホウ素錯体)を基軸とし、そのアニオン会合体と平面状対カチオンからなる「電荷積層集合体」の形成による、異方性を有する組織構造(有機塩)の創製および超分子強誘電体の発現など、新機能・新概念の創出を試みた。実際に、電荷種(金属イオンやアニオンなど)に応答するπ共役系素子の合成および刺激応答性ソフトマテリアルの開発という点に関して、顕著な進展が見られた。たとえばソフトマテリアルを構成する個々の分子に注目すると、ピロール環からなるアニオン応答性π共役系分子(レセプター)の周辺修飾を実現し、光・電子物性および集合体(結晶、ゲル、液晶、コロイド、ベシクルなど)形成能の制御が可能であることが分かった(一部の内容は論文投稿中・投稿準備中)。レセプター分子の共有結合多量化にも成功し、溶液中でアニオンとの[2+2]型会合体(2重らせん型集合体)を形成することを世界で初めて明らかにした(Chem.Eur.J.2011、論文投稿中)。また、レセプター-アニオン会合体および正電荷種(カチオン)間での規則的な交互配列からなる「電荷積層型」構造を形成し、電荷積層型集合体から形成されるソフトマテリアルが超分子ゲルの形成や液晶性を発現し、放射光X線(SPring-8)を利用した構造解析の結果、複数の電荷積層型ユニットが円盤状集合体を形成し、それらが高次のカラムナー構造を形成していることを見出した(Angew.Chem.Int.Ed.2010)。また、修飾アニオンを合成し、ソフトマテリアル形成能をもたないπ共役系レセプターとの会合によって、電荷積層型ラメラ構造を基盤とした液晶性の発現を確認した(論文投稿準備中)。
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