2009 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧環境を利用したホウ素ドープ超伝導ダイヤモンド結晶の合成
Project/Area Number |
21750156
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
川嶋 哲也 National Institute for Materials Science, 超伝導材料センター, 主任研究員 (00354308)
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Keywords | ダイヤモンド / 超伝導 / 高圧合成 |
Research Abstract |
本年度は、ホウ素ドープ超伝導ダイヤモンドのバルク試料の合成を目指し各種高圧合成実験を実施した。B_4CとCaCO_3を一定比率で混合した原料粉末の上下を黒鉛板で挟み、全体をTaスリーブにセットした試料を7.7GPa,2150~2300℃の圧力温度条件下で20~40分処理した。その後、中心の焼結体試料を回収し生成物の同定および磁化率測定を実施した。その結果、全ての合成試料においてダイヤモンドの生成が確認され、磁化率測定ではホウ素ドープ超伝導ダイヤモンドの生成に起因すると考えられる2つの超伝導転移(T_c=2.5~3.5K,T_c=8.8~10.3K)が観察された。この結果はホウ素ドープダイヤモンド薄膜試料において報告されている、異なる成長面の試料におけるホウ素ドープ量および結合状態の違いに対応したT_cの違いに類似する結果であり、また高い方のT_c値は高圧合成されたホウ素ドープダイヤモンド結晶のT_cとしてはこれまでで最高のものである。しかし、出発物質の1つであるB_4Cが通常の王水処理では除去出来ず、ダイヤモンド結晶が単体では回収出来ないことが判明した。観察された2つの超伝導転移が間違いなくホウ素ドープダイヤモンド由来のものであると結論づけるためにはダイヤモンド結晶の単離が必要不可欠である。そこで来年度は、合成試料をNaOH等のアルカリと高温で融解させダイヤモンド以外の融成物を酸や水で溶解する「アルカリ融解法」を適用し、焼結体試料からのダイヤモンド結晶の単離回収を最初に試みる。また、現在得られている合成ダイヤモンドの結晶は最大でも直径数μm程度であるため、通常の濾過での抽出が困難である。そこで温度保持時間を拡大した高圧合成実験を実施し、多核発生したダイヤモンド微結晶の大型化を試みる。
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