2010 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧環境を利用したホウ素ドープ超伝導ダイヤモンド結晶の合成
Project/Area Number |
21750156
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
川嶋 哲也 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導材料センター, 主任研究員 (00354308)
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Keywords | ダイヤモンド / 超伝導 / 高圧合成 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、ホウ素ドープ超伝導ダイヤモンドのバルク試料の合成を目指し各種高圧合成実験を実施した。B_4CとCaCO_3を一定比率で混合した原料粉末の上下を黒鉛板で挟み、全体をTaスリーブにセットした試料を7.7GPa, 1900~2300℃の圧力温度条件下で20~40分処理した。その後、中心の焼結体試料を回収し生成物の同定および磁化率測定を実施した。全ての合成試料においてダイヤモンドの生成が確認され、磁化率測定ではホウ素ドープ超伝導ダイヤモンドの生成に起因すると考えられる2つの超伝導転移(T_c=2.5~3.5K, T_c=8.8~10.3K)が観察された。合成試料中にはB_4CやNaClが不純物として残留しているため、「アルカリ融解法」を適用してダイヤモンド結晶の単離回収を試みた。合成試料を設定温度460℃の水酸化ナトリウム融液中で2~6時間処理し、室温まで冷却した後、全体を蒸留水で洗浄し残留粉末を回収した、その後、回収した試料粉末を180℃塩酸で2~3時間処理し残留粉末を回収した。上記処理の結果ほぼダイヤモンド単体の試料回収に成功し、また磁化率測定に於いては前述と同じ2つの超伝導転移が観察された。 本研究では、炭酸塩を触媒とするダイヤモンド高圧合成法を新たに適用することにより、これまでに報告された圧力・温度よりも低い条件下でホウ素ドープ超伝導ダイヤモンド結晶が再現良く合成出来ることを明らかにした。合成されたダイヤモンドの超伝導転移温度は最大T_c=10.3Kを示し、この値はこれまでに報告された高圧合成ダイヤモンドの超伝導転移温度の最高値である。今後の課題としては、詳細な物性測定に使用可能なダイヤモンド結晶の大型化が挙げられる。
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Research Products
(1 results)