2009 Fiscal Year Annual Research Report
抗酸化酵素をターゲットとした光学活性なスピン剤の開発
Project/Area Number |
21750165
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
波多野 豊平 Yamagata University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (20333990)
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Keywords | スピン剤 / 活性酸素種 / DMPO / 抗酸化酵素 |
Research Abstract |
近年、活性酸素種による酸化ストレスが、糖尿病、脳梗塞、認知症等の様々な疾患を引き起こす原因となることが明らかとなってきている。しかし、細胞レベルでの活性酸素種の作用機構の解明は十分ではなく、抗酸化酵素の活性酸素種に対する生体内における作用機構の解明と抗酸化物質の生体内での挙動の解明が求められている。本研究では、スピン剤に光学活性構造を付与し抗酸化酵素と強い会合体を作るスピン剤の開発を行い、作用機構の解明につなげることを目的としており、本年度は、光学活性なDMPO型スピントラップ剤の合成を検討した。申請時の計画通り、光学活性なピロリジンカルボン酸誘導体であるL-(S)-ハイドロキシプロリンを出発物質とし、カルボキシル基のエステル保護、アミノ基の保護、さらに、3位のヒドロキシル基のベンジルまたはシリルで保護により、3位の不性炭素を立体的に固定した。次に、アミノ基の脱保護、カルボキシル基の脱保護を行い、中間体であるL-(S)-アルコキシシプロリンに誘導した。さらに、本合成計画の鍵反応である過酸化水素共存下におけるタングステン触媒を用いた脱カルボキシル化を伴うN-オキシド生成反応により、一段階でのN-オキシド生成反応を試みた。本反応は論文既知反応であるため、効率よく反応が進行すると思われたが、論文記載の条件では反応が全く進行せず、合成ルートの変更を余儀なくされた。そこで、別ルートでの検討を種々行った結果、L-(S)-ハイドロキシプロリンを出発物質として、脱カルボキシル化反応、アミノ基の保護、さらに、3位のヒドロキシル基のベンジル保護により、3位の不性炭素を立体的に固定することができた。その後、アミノ基の脱保護、アミンのα位の酸化反応が成功し、現在、N-オキシド中間体を得るにいたった。今後、N-オキシド中間体でのストック量を増やし、グリニア反応を用いて、光学活性なスピン剤への誘導を行う。
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Research Products
(3 results)