2010 Fiscal Year Annual Research Report
自律会合型中空粒子Nano-PICsomeの粒径制御とタンパク質キャリアへの応用
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21750166
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岸村 顕広 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (70422326)
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Keywords | ベシクル / 生体材料 / ブロック共重合体 / 自己組織化 / ナノバイオ / ポリイオンコンプレックス / ナノ構造体 / ドラッグデリバリーシステム |
Research Abstract |
本研究では、水中での自律会合に基づく中空高分子集合体として、特に100-400nmでのサイズの精密制御が可能なポリイオンコンプレックス型ベシクルNano-PICsomeを開発し、生体材料応用を目指した。特に、機能性タンパク質を封入し、サイズ自体を機能として活用できる材料としての機能評価を行い、最終的にNano-PICsomeをタンパク質デリバリーシステムへ応用することを目的とした。本年度は、前年度に引き続きNano-PICsomeのさらなる機能化を進めた。これまで、Nano-PICsomeに荷電密度の高い物質を封入することは困難であったが、それを解決する手法として、先に空のNano-PICsomeを作製した後に、内部に物質を封入する『後入れ法』を開発した(特願2010-117821)。特に、物質変換能を有する酵素を封入し、PICsomeの安定化処理の後であっても酵素活性が維持されることを見出した。さらに、Nano-PICsomeの鋭いサイズ制御と長期血中循環能を活かして、マウスにおける体内動態のサイズ依存性を明らかとした。その結果、EPR効果による腫瘍集積だけでなく、脾臓などに集積する閾値も明らかとし、ほとんど非特異的な集積を示さないサイズが存在することも示した。これらは、生体内で用いるナノ材料について、精緻な設計が重要であることを改めて認識させる結果と言える(Chem. Commun., 2011)。さらに、その生理活性で次世代医薬として有望視されるsiRNAを構成成分とするPICsomeも開発し、その有効性を細胞実験により実証した(特願2010-117823)。また、ポリマーに環境応答性を導入し、還元環境で崩壊するPICsomeを開発した(特願2010-168880)。これらの成果は、PICsomeの細胞内導入が可能なこと、また、将来的にPICsome体内から除去できると同時に内容物を放出できることを明瞭に示す結果であった。以上より、タンパク質封入PICsomeを作成し、PICsomeを生体内ナノリアクターや、人工オルガネラとして活用する準備は十分に整えられ、研究目的は首尾よく達成された。
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Research Products
(30 results)