2009 Fiscal Year Annual Research Report
光誘起電子移動機構に基づく銅一価蛍光プローブの創製と細胞イメージングへの応用
Project/Area Number |
21750168
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
多喜 正泰 Kyoto University, 地球環境学堂, 助教 (70378850)
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Keywords | 銅一価イオン / 蛍光プローブ / 蛍光イメージング / 光誘起電子移動 / チオエーテル配位子 / 結晶構造 / 酸化還元電位 |
Research Abstract |
銅は細胞内において鉄、亜鉛に続き三番目に多く含まれる遷移金属元素で、生体にとって必須の微量金属イオンであるが、生体における銅代謝・動態についてはほとんど解明されていない。通常、細胞内は還元的環境であるため、銅イオンは低原子価状態である一価で存在している。このため、銅イオンの生理的役割を明らかにするには、銅イオンを一価の状態で捕捉し、蛍光応答を示すプローブ分子を開発しなければならない。そこで本研究では、光誘起電子移動機構に基づいた銅一価イオン蛍光プローブの論理的創製、および細胞内銅イオンの蛍光イメージングを目的とした。 まず、本研究では低原子価である銅一価を安定に捕捉するための配位部位として、リンカー長や配位ドナー数の異なる4種類のポリチオエーテル型配位子の合成を行った。これらの配位子は全て銅一価イオンと1:1で錯形成することがわかった。さらにX線結晶構造解析を行ったところ、銅イオンは歪んだ三角錐構造を有していることがわかり、リンカーの長さによって銅中心の歪み度合いが異なっていた。一方、各銅錯体の酸化還元電位を測定したところ、配位子の構造の違いによる大きな違いは認められなかった。 次に、得られたチオエーテル配位子と蛍光団を組み合わせた銅一価蛍光プローブの合成を行った。いずれの場合も銅一価イオンの添加により7倍程度の蛍光増大が認められたが、予想よりもはるかに低いものであった。フェムト秒レーザー分光光度計を用いて銅一価錯体の一重項励起状態の寿命を測定したところ、これらの錯体いの蛍光消光は光誘起電子移動によるものであることがわかった。
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Research Products
(12 results)