2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規シッフ塩基型核酸の開発とメチルシトシン識別への応用
Project/Area Number |
21750171
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堂野 主税 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (60420395)
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Keywords | バイオテクノロジー / 分子認識 / 有機化学 / メチル化核酸塩基 |
Research Abstract |
本研究課題では、DNAの核酸塩基に対して効率よくシップ塩基を形成することができる修飾核酸を開発し、そのシップ塩基形成反応を用いて、DNA中のメチル化修飾核酸塩基の識別する新手法の開発を目的とする。昨年度までに合成を達成しているホルミル基をグアニンの6位に有するグアニン誘導体(fG)を用いて、DNA中のメチル化修飾核酸塩基の検出のための実験を行った。 平成21年度において、DNA中に導入したfGが、相補鎖側の特定の部位のシトシンおよびアデニンとクロスリンク体を形成することを見出した。反応のpH依存性、可逆性、酵素分解実験等により、この鎖間クロスリンク体がシップ塩基形成により生成したものであることが示唆された。続いて、本クロスリンク反応のメチル化シトシン識別能を評価するため、シトシンおよび5-メチルシトシンを標的塩基とするクロスリンク生成効率を比較した。その結果、5位にメチル基修飾された5-メチルシトシンでは、クロスリンク体の生成が大幅に抑制された。期待されたように、一つのメチル基の有無によって、シップ塩基形成反応効率が大きく変化することを見出した。天然のゲノムDNA上に存在するメチル基修飾体である、4-メチルシトシン、6-メチルアデニンに対して、fGを用いたメチル化修飾識別を同様に検討した。その結果、5-メチルシトシンよりもさらに高いS/N比で、メチル基の有無を識別した。本手法は、ゲノム中に存在する全てのメチル化修飾核酸を識別可能な新しい化学的手法であり、2010年のChem. Commum.誌にその成果を報告した。
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