2010 Fiscal Year Annual Research Report
チトクロムc酸化酵素における酸素還元とそのNO阻害の化学モデル研究
Project/Area Number |
21750173
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
劉 勁剛 九州大学, 先導物質化学研究所, 特任准教授 (70380540)
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Keywords | 酵素反応 / モデル化 / 触媒・化学プロセス / 分子認識 / シグナル伝達 / 生物無機化学 |
Research Abstract |
6配位一酸化窒素結合型ヘムおよびその一電子還元種のヘム-ニトロキシル(HNO/NO^-)付加体は、バクテリア由来一酸化窒素還元酵素やシトクロム酸化酵素によって触媒される一酸化窒素還元において中間体として存在しうると考えられている。これら金属酵素による一酸化窒素還元では、N-N結合を生成して亜酸化窒素(N_2O)を生成することが知られている。ヘム-ニトロキシル付加体について、これまでに金属蛋白質、およびモデル錯体との反応により研究されてきたが、その不安定な性質から詳細な分子構造および反応性については理解されていない。本研究では、生体を規範として合理的に分子設計したヘム錯体を用いることで、一酸化炭素結合型ヘムの性質および反応性について以下の知見を得た。 (1)電子供与性および電子吸引性置換基を導入したポルフィリンと一酸化窒素の反応において一酸化窒素付加体の合成に成功した。室温で安定な一酸化窒素付加体は各種分光法(電子遷移吸収、電子スピン共鳴、赤外吸収、共鳴ラマン分光法)により解析し、その詳細な分子構造を明らかにした。 (2)6配位一酸化窒素結合型ヘムをコバルトセンで還元することにより、6配位ヘム-ニトロキシル(NO^-)錯体の生成に成功し、その性質は、各種分光法により同定した。 (3)6配位一酸化窒素結合型ヘムを液体窒素凍結下でγ線照射することにより得たサンプルを共鳴ラマン分光により解析することで、ヘム-ニトロキシル(HNO^-)が生成することを見出した。モデル錯体において初めて本化学種の生成に成功した例である。
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Research Products
(8 results)