2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21750174
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
保住 建太郎 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 薬学部, 助教 (10453804)
|
Keywords | 生体材料 / 再生医学 / 細胞・組織 / シグナル伝達 / 細胞外マトリックス |
Research Abstract |
本研究では、ラミニンへの細胞接着によって引き起こされる様々なレセプターの相互作用を、ラミニン由来の合成ペプチドを結合させたマトリックス上で解析することを目的に初年度の研究を行ってきた。はじめに巨大タンパク分子ラミニンの配列を網羅した合成ペプチドを作成、活性評価し、ラミニンペプチドライブラリーの充実を目指した。その結果、ラミニンα3鎖Gドメインを網羅した107種類の合成ペプチドから11種類の活性ペプチドを同定し(Biochemistry,2009)、ラミニンα2鎖LG45ドメインでは、42種類の合成ペプチドから9種類の活性ペプチドを同定した(Matrix Biol,2010)。また、本研究の目的の1つである、合成ペプチドを用いてラミニンの機能を再現することを目指し、合成ペプチドとラミニンの活性比較を行った。その結果、活性合成ペプチドの数と、組み換えタンパク質の活性が比例することがわかった(Biochemistry,2009)。さらに、二種類の活性ペプチドを鎖状に結合することによって異なる活性を1つのペプチドで再現することを試みた。その結果、細胞表面レセプターシンデカン結合ペプチドと、インテグリン結合ペプチドを一本鎖状にしたペプチドは、両方の機能を持ち合わせた非常につい良い活性を持つことが示された(Biomaterials,2009)。さらに、ラミニン由来のシンデカン結合ペプチドAG73と同じくラミニン由来のインテグリン結合ペプチドEF1のそれぞれをキトサンマトリックスに結合させたところ、細胞接着活性を示すことが解った。さらにこの二種類のペプチドを混合させ、混合ペプチド-キトサンマトリックスを作成したところ、非常に強い細胞接着活性を示した(Biomaterials,2009)。以上の結果から、合成ペプチドを用いての、タンパク質機能の再現を目指す本研究計画が、非常に有用であることが示された。次年度については、本結果をもとに、ペプチドと細胞との相互作用の詳細な解明、その応用について研究を進めていく。
|