2009 Fiscal Year Annual Research Report
特異な軌道間相互作用を利用したスピン制御触媒の構築
Project/Area Number |
21750175
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
池崎 章 Toho University, 医学部, 講師 (80297639)
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Keywords | スピン制御 / 高原子価 / ポルフィリン鉄錯体 / 軌道間相互作用 / 非平面 / 電子構造 / 電子状態 / スピン状態 |
Research Abstract |
本研究の目的は特異な金属-配位子間の軌道間相互作用を利用して、従来にないスピン状態や電子配置を持つ高原子価金属錯体を合成し、それが従来とは異なる触媒機能を持つ「スピン制御触媒」を構築することである。「スピン制御触媒」を構築するためには1)スピン状態、電子配置が異なる可能性がある高原子価ポルフィリン金属錯体の合成、2)それらのスピン状態、電子配置及び電子状態の決定、3)それらの触媒反応性の比較検討が必要である。本年度は1)と2)について大きな進展があり、電子状態の異なる1電子酸化高原子価錯体と2電子酸化高原子価錯体を見いだした。 1電子酸化錯体:i)大きくラッフル変形し、2分子の低いπ^*を有する軸配位子が配位した1電子酸化ポルフィリン鉄(III)錯体がほぼ純粋な反磁性的性質を有することを見いだした。ii)配位子場が弱い軸配位子を2分子有した大きくラッフル変形した1電子酸化ポルフィリン鉄(III)錯体が新規の中間スピンポルフィリンラジカル状態であることを明らかにした。iii)軸配位子を制御することで、従来の概念に無い鉄(IV)価とポルフィリン鉄(III)ラジカルのスピン平衡の可能性がある1電子酸化ポルフィリン鉄(III)錯体を得た。 2電子酸化錯体:i)従来とは異なるNMR挙動を示す2電子酸化体を見いだし、電子状態を明らかにするため、この錯体が安定して存在する低温下でのNMRとUV-Vis(本研究費で低温測定システムを購入)測定を行った。 以上のことから新規の電子状態を有する高原子価錯体を得ることができ、スピン制御触媒構築の可能性が現実味を帯びた。
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Research Products
(16 results)