2011 Fiscal Year Annual Research Report
特異な軌道間相互作用を利用したスピン制御触媒の構築
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21750175
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
池崎 章 東邦大学, 医学部, 講師 (80297639)
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Keywords | スピン制御 / 高原子価 / ポルフィリン鉄錯体 / 軌道間相互作用 / 非平面 / 電子構構造 / 電子状態 / スピン状態 |
Research Abstract |
本研究の目的は特異な金属-配位子間の軌道間相互作用を利用して、従来にないスピン状態や電子配置を持つ高原子価金属錯体を合成し、それが従来とは異なる触媒機能を持つ「スピン制御触媒」を構築することである。「スピン制御触媒」を構築するためには1)スピン状態、電子配置が異なる可能性がある高原子価ポルフィリン金属錯体の合成、2)それらのスピン状態、電子配置及び電子状態の決定、3)それらの触媒反応性の比較検討が必要である。本年度は1)と2)について進展があり、新規鉄(IV)錯体の生成の可否、新規スピン平衡を有する1電子酸化体、新規の電子構造を有する2電子酸化体を見いだした。 1電子酸化錯体:1)新規の鉄(IV)錯体を与える軸配位子として論争のあるフルオライドについて検討した。NMR,UV-Vis,溶液Mossbauer分光法で検討した結果、ビスフルオロ錯体は高スピン鉄(III)ポルフィリンラジカルカチオン錯体であることが判明した。鉄(IV)錯体と鉄(III)ポルフィリンラジカルが軸配位子の微調整によって制御されていることが示唆された。2)鉄(IV)と鉄(III)ポルフィリンラジカルカチオンの新規のスピン平衡の可能性を持つ錯体を見いだした。従来の知見では、鉄(III)ポルフィリンからの1電子酸化体は鉄(IV)ポルフィリンか鉄(III)ポルフィリンラジカルカチオンのいずれか一方であった。高原子価の重要な発見になりうる。 2電子酸化体:従来と著しく異なるスペクトルを与える新規電子構造を有する2電子酸化体を見いだすことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では困難な高原子価における新規の電子構造を有する錯体を構築する必要があるが、1電子酸化体と2電子酸化体で新規の電子構造を有する錯体を見い出すことに成功している。この観点では飛躍的に研究が進んだといえるが、それらの状態を証明する溶液メスバウアー測定で困難が生じている。これらの錯体を安定化する溶媒がγ線を吸収するため、良好なメスバウアースペクトルを得るのが困難である。電子構造の解明の最終段階が容易に終了しないと考えられるため、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で見い出された新規の1電子酸化体及び2電子酸化体の電子構造を解明することが重要である。電子構造の解明に基づくことで、触媒機能がどう変化するかを検討することが可能になる。溶液での電子構造を解明するためには錯体の置換基の電子効果を検討するとともに、溶液中でのメスバウアー測定が必須である。それらの高原子価錯体を安定化できる溶媒はγ線を吸収するため、メスバウアーで吸収を測定することが困難である。その溶媒を用いてもメスバウアー測定可能な条件を検討するとともに、γ線を吸収しにくい溶媒を探すことが重要である。測定可能と思われる条件を丹念に検討していくことが今年度の重要な方針である。
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Research Products
(16 results)