2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21750177
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
米田 誠治 Suzuka University of Medical Science, 薬学部, 助教 (21750177)
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Keywords | 白金錯体 / 制がん剤 / X線結晶解 / シスプラチン / DNA |
Research Abstract |
白金(II)単核錯体であるシスプラチンは、現在最も広く用いられている制がん剤の一つであるが、薬剤の投与に伴う重篤な副作用や、シスプラチン耐性がんの発現などが臨床で問題となっている。本研究の目的は、治療効果および安全性の高い次世代白金制がん剤を開発することである。21年度は、制がん活性を有するテトラゾレート架橋白金(II)二核錯体(以下テトラゾレート架橋錯体)の創薬基盤を構築するために、新たに数種の誘導体を分子設計し、ヒト非小細胞肺がんに対するin vitroおよびin vivo制がん活性の検討を行った。ほとんどのテトラゾレート架橋錯体は、シスプラチンと同等かそれよりも高いin vitroがん細胞増殖抑制活性を示した。また、臨床白金制がん剤はシスプラチンに対して交叉耐性を示すことが知られているが、テトラゾレート架橋錯体はシスプラチン耐性がんに対しても非常に高いin vitro増殖抑制活性を示した。さらに、ヒト非小細胞肺がん移植ヌードマウスにおいては、有効なin vivo腫瘍抑制効果を発揮することが確認された。テトラゾレート架橋錯体の制がんメカニズムの一端を解明するため、白金制がん剤の標的分子と考えられている核酸塩基との相互作用様式を、1^H-および^<195>Pt-NMR分光法を用いて検討行った。その結果、テトラゾレート架橋錯体は、シスプラチンとは異なる様式で核酸塩基と相互作用することが示唆され、このことがテトラゾレート架橋錯体のシスプラチン耐性がんに対する有効性に関与していると推定した。以上のことから、テトラゾレート架橋錯体はシスプラチン耐性がんに対して有効な基本骨格を有する抗がん白金錯体であると考えられる。
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Research Products
(9 results)