2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21750177
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
米田 誠治 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助教 (60425056)
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Keywords | 白金錯体 / 制がん剤 / X線結晶解 / シスプラチン / DNA |
Research Abstract |
平成22年度はピラゾレート架橋白金-プリン塩基錯体の合成を行い、そのin vitroがん細胞増殖抑制活性を検討したが、有意な増殖抑制活性は確認されなかった。しかしながら、研究代表者が合成した次世代抗がん薬候補である一連のアゾレート架橋白金(II)二核錯体が、in vitroだけでなくin vivoでも高い制がん効果を発揮することが明らかになった。誘導体の一つであるテトラゾレート架橋白金(II)二核錯体(錯体1)は、すい臓がんに対して顕著な腫瘍抑制効果を示した。錯体1を投与したすい臓がん移植ヌードマウス群(n=6)のうち、2匹のマウスの腫瘍が消失した。このマウス群の平均腫瘍体積増加は、薬剤投与を行わないすい臓がん移植ヌードマウス対象群(n=6)の1/100以下(投与開始45日後)であった。 また、錯体1の制がん機構の一端を解明するために、標的分子と考えられるとDNAの相互作用様式を検討した結果、錯体1は非共有結合性相互作用によって、DNAのコンフォメーション変化(B型からC型)を引き起こすことが明らかになった。また、錯体1がDNAと配位結合を形成する際に、ウェルナー型正方平面錯体としては非常に珍しい白金原子の転位反応を伴うことが確認された。このことから、錯体1はDNA上で鎖内架橋および鎖間架橋など、多様な共有結合性のDNA付加物を形成すると推定される。 以上のように、研究代表者の研究によってすい臓がんに著効を示すリード化合物が創出された。リード化合物である錯体1についてはその臨床応用が大いに期待されており、現在は前臨床試験を重ねている段階である。研究代表者は今後、出来るだけ多くのアゾレート架橋白金(II)二核錯体の合成を行い、それらのDNAとの相互作用様式と腫瘍抑制効果との関連を明らかにする予定である。
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Research Products
(17 results)