2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト由来生理活性ペプチドホルモン末端Cアミド化酵素の構造と反応機構の全容解明
Project/Area Number |
21750181
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
下川 千寿 Kurume University, 医学部, 助教 (20529284)
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Keywords | タンパク質 / 酵素 / 金属酵素 / 構造生物学 / 生体反応化学 |
Research Abstract |
約半数の生理活性ペプチドの生物活性の発現に必須であるC末端アミド基は、C末にGly残基をもつペプチド前駆体に酵素PAM^*が作用して生成される。PAMは、PHM^<**>ドメインおよびPAL^<***>ドメインからなる2頭酵素であるが、近年の酵素反応解析や結晶構造解析の進展にも関わらず、PHMおよびPALの反応機構には未解明な点が多く残っている。我々を含めいくつかの研究グループは、PALにはZnおよびFeイオンが含まれることを報告しているが、これらの金属イオンの役割は明確ではない。本研究では、PALに含まれる金属イオンの役割について詳細な知見を得るため、金属除去PAM(Apo-PAM)および金属再構成PAM(Metal-PAM)を作製し、それらの活性について検討を行った。 PAMに含まれる金属イオンの量は、ICP-MS分析により確認した。また、PAMには、560nmにアミノ酸からFeへのLMCTバンドが確認されているが、Apo-PAMにはこのFeイオン由来の吸収が消失した。活性測定の結果、再構成Cu-PAMには水酸化中間体の生成がみられ、PHM活性が回復された。さらに、再構成Cu,Zn-PAMにはアミド化ペプチドの生成がみられ、PAM活性が回復された。一方、再構成Cu,Fe-PAMには水酸化中間体のみが生成し、アミド化ペプチドの生成活性は確認されなかった。このことから、PAL活性の発現にはFeイオンを必要としない事が明らかとなった。 ^*PAM ; peptidylglycine α-amidating monooxygenase, ^<**>PHM ; peptidylglycine α-hydroxylating monooxygenase, ^<***>PAL ; peptidylamidoglycolate lyase
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