2009 Fiscal Year Annual Research Report
光スイッチングにおけるメモリー効果の機構解明と新デバイス創製
Project/Area Number |
21750184
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
飯森 俊文 Hokkaido University, 電子科学研究所, 助教 (60360947)
|
Keywords | 有機導電体 / 光誘起相転移 / 光スイッチング / 有機デバイス / 外部電場効果 |
Research Abstract |
最近我々は、電荷秩序絶縁体状態にあるα-(BEDT-TTF)_2I_3の光・外部電場応答について、金属-絶縁体相転移温度に近い温度領域において時間分解計測手法を用いた研究をすすめている。これまでの成果として、直流電圧の存在下において可視光レーザーパルスを用いて光励起を行うと、電気伝導度が光スイッチングを示すことを明らかにしてきた。また、8Hzの繰り返し周波数のパルス電圧とパルスレーザー光を用いて光スイッチングを生じさせたあと、レーザー光照射のみを止めると、高伝導状態が保持される『パルス電場制御メモリー効果』を発見してきた。本年度は、これらの現象の機構について検討し、レーザー光照射にともなう試料結晶の抵抗値変化について時間分解計測を行った。市販のBEDT-TTFとテトラブチルアンモニウムトリイオージドを有機溶媒へ溶かし、白金電極と定電流源を用いて電気分解を行い、光沢を有する黒色の結晶を合成した。1mm程度の大きさの単結晶を選び、結晶表面に、金線と金ペーストを用いて4端子の電極を作成し、定電流パルスもしくは定電圧パルスを用いた直流4端子法によって抵抗値を計測した。自作のクライオスタットを用いて抵抗値の温度依存性を測定した。ナノ秒パルスレーザー光を光源に用い、光ファイバーを用いて試料表面に光照射を行った。過渡的な電流値もしくは電圧値をオシロスコープをもちいて計測することによって、抵抗値の時間変化を測定した。パルス電場制御メモリー効果において、電流によって発生する熱(ジュール熱)の寄与はなく、光スイッチングにおいて生じる金属状態の緩和過程が重要であると考えられる。
|