2009 Fiscal Year Annual Research Report
金属酸化物系カソード触媒を用いた新規アルカリ形燃料電池の開発
Project/Area Number |
21750193
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
齋藤 守弘 Doshisha University, 研究開発推進機構, 准教授 (20408719)
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Keywords | 電池 / アルカリ形燃料電池 |
Research Abstract |
固体高分子形及び直接メタノール形燃料電池のような低温作動プロトン伝導性電解質燃料電池では、Nafion^(R)等の超強酸性電解質膜を用いるため、カソード触媒として高い酸耐性と酸素還元活性を兼備することが要求され、現状としてはPt系触媒を使う以外になく、コストや資源量の観点から燃料電池の実用化及び普及を妨げる障害の一つとなっている。これに対し、アニオン交換膜を用いたアルカリ形燃料電池(AMFC)では電解質膜が塩基性のため、カソード触媒にAgなどが使用可能となり、また塩基下では一般に酸素還元反応(ORR)が促進されるため、従来にない安価且つ高性能な燃料電池の構成が可能と期待される。本研究では、パイロクロア、ペロブスカイト、酸化物ナノシート構造体等の金属酸化物系カソード触媒を創成し、炭化水素系アニオン交換膜と組み合わせた従来にない安価且つ高性能な白金フリーの新規AMFCを開発することを目的とする。また同時に、AMFCの課題とされるカソード供給ガス中のCO_2の発電特性に及ぼす影響を調査し、実用化へ向けての指針を確立する。本年度は、触媒開発では特にペロブスカイトLa_<1-x>Sr_xMnO_3(LS_xM)及び酸化Mnナノシートを大量合成も可能な新規液相法にて合成し、回転リングディスク電極法によるORR活性評価並びにAMFC発電試験を行なった。その結果、いずれの試料においても従来のAg/C触媒よりも高いORR活性(ORR開始電位:0.9V_<vs>.RHE、四電子還元選択率:80%以上)を示し、特にペロブスカイトLS_<0.4>Mを用いたAMFC発電試験では35mWcm^<-2>以上の高出力が得られることを実証した。一方、CO_2の影響については両極Pt/C触媒のAMFCモデルセルを構成し、種々のCO_2濃度のO_2ガスにて運転することで、出力低下の主要因がアノード触媒層におけるpH上昇であることを明らかにした。
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