2010 Fiscal Year Annual Research Report
非ヨウ素系電解質層を用いた色素増感光電変換素子の構築と電荷移動機構の解析
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21750196
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
池上 和志 桐蔭横浜大学, 大学院・工学研究科, 講師 (30375414)
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Keywords | 色素増感太陽電池 / 光電変換素子 / 固体電解質 / ゲル電解質 / 電荷移動機構 |
Research Abstract |
本研究の目的は、色素増感半導体ナノ多孔膜と電荷輸送層の組み合わせからなる次世代型光電変換素子(色素増感太陽電池)において、酸化剤としてのヨウ素分子(I_2)と触媒としての白金(Pt)まったく用いない電荷輸送層を設計し、その電子移動・電荷移動過程を明らかにすることである。半導体ナノ多孔膜を用いる光電変換素子においては、その性能を引き出すために、電荷輸送及び電子輸送担体として、ほとんど例外なくヨウ素が含まれている。触媒として腐食性のヨウ素を用いずに電荷輸送層を作製することができれば、このタイプの光電変換素子の耐久性の大幅な向上が期待され、実用化に向けた動きを加速させることにつながる。 平成22年度は、ヨウ素を実質的に含まない電解液をポリビニルアルコールによりゲル化することに成功し、電気化学会にて発表を行った。このような、ヨウ素を含まない電解液においては、電解質濃度と種類に対する対極触媒の依存性が大きいことが明らかとなった。この結果は、電解質を設計するうえで、対極の開発も同時に行っていく重要性を示していた。適切な電解液、対極の組合せを進めるうえで、これまでの知見が少ないヨウ素を含まない電解液おいては、電荷移動機構をこれまでとは違う角度で検討することが必要であった。そこで、電荷移動機構を検討するための電子寿命測定装置を自作により新しく完成させた。電子寿命測定の精度とデータの信頼性の確認は、従来型の色素増感太陽電池を作成し、自作装置による測定結果と、論文や他機関での測定結果と比較することで行った。今後のヨウ素を含まない電解液における電荷移動機構の解析に必要な、従来型色素増感太陽電池における基礎的データを蓄積することができた。
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