2011 Fiscal Year Annual Research Report
非ヨウ素系電解質層を用いた色素増感光電変換素子の構築と電荷移動機構の解析
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21750196
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
池上 和志 桐蔭横浜大学, 大学院・工学研究科, 講師 (30375414)
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Keywords | 色素増感太陽電池 / 光電変換素子 / 固体電解質 / ゲル電解質 / 電荷移動機構 / 交流インピーダンス / 温度依存性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、色素増感半導体ナノ多孔膜と電荷輸送層の組み合わせからなる次世代型光電変換素子(色素増感太陽電池)において、酸化剤としてのヨウ素分子(I_2)用いない電荷輸送層を設計し、その電子移動・電荷移動過程を明らかにすることである。半導体ナノ多孔膜を用いる光電変換素子においては、その性能を引き出すために、電荷輸送及び電子輸送担体として、ほとんど例外なくヨウ素が含まれている。腐食性のヨウ素を用いずに電荷輸送層を作製することができれば、このタイプの光電変換素子の耐久性の大幅な向上が期待され、実用化に向けた動きを加速させることにつながる。 平成23年度は、ヨウ素を実質的に含まない電解液を用いた色素増感型光電変換素子における電流電圧特性と交流インピーダンス特性の温度依存性の測定を進めた。その結果、電荷移動過程に対して、イオン拡散の影響が従来型のヨウ素系電解液よりもきわめて小さいということを明らかにした。従来型のヨウ素系電解液においては、特に、高温度領域では、酸化チタン界面と電解液界面の電荷移動抵抗が小さくなり、このことが開放電圧の低下につながり変換効率が低くなることが問題であった。一方、ヨウ素濃度が極めて低い系では、温度上昇に伴う界面抵抗の低下を抑えることができ、温度変化による変換効率の変化率が小さいことを明らかにした。 本研究では、色素増感型の光電変換素子において従来問題とされていた電解液中の腐食性のヨウ素を削減してもほとんど性能低下を引き起こさない電解液組成をあらたに見出すことができた。また、この電解液組成は、実用性能に重要である内部抵抗の温度依存性がきわめて低いという特徴を明らかにすることができた。本研究の成果は、実用型の色素増感型素子の開発に寄与できるものと考えられる。
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