2011 Fiscal Year Annual Research Report
外部からの刺激に応答するジェミニ型界面活性剤の開発とその機能性評価
Project/Area Number |
21750199
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
酒井 健一 東京理科大学, 理工学部, 助教 (20453813)
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Keywords | 界面活性剤 / 分子集合体 / 刺激応答 |
Research Abstract |
ジェミニ(双子)型界面活性剤は少量の添加でも従来型(一鎖一親水基型)に勝るとも劣らない界面化学的な機能を発揮できることから、低環境負荷な有機材料として知られている。本研究課題では、外部環境の変化(刺激)に応答し、界面吸着能や分子集合体の形成能が任意に変化するジェミニ型界面活性剤の開発をめざしてきた。 本年度の成果として、陽イオン種と陰イオン種の水中混合によるジェミニ型界面活性剤の複合化がある(論文発表済)。ジェミニ型界面活性剤の合成は容易ではなく、簡便な手法で同等な性質を有する両親媒性物質を得ることができれば魅力的な機能性有機材料となる。そこで、陽イオン種(三級アルキルアミンあるいはアルキル四級アンモニウム塩)2当量と陰イオン種(アルキルジカルボン酸)1当量の水中混合によりイオン対を形成させ、ジェミニ型界面活性剤と構造的に類似した複合体の調製を試みた。ここで、陰イオン種1分子は陽イオン種2分子を橋掛けする役割を担っており、結果として、ジェミニ型界面活性剤と類似な構造を有する複合体を形成している。また、これらの系について表面張力を測定すると、陽イオン種を単独で系に添加した場合よりも、複合体の方が表面張力は全濃度領域で低下し、臨界ミセル濃度(cmc)も有意に低下した。すなわち、陰イオン種1分子と陽イオン種2分子から成る複合体は、界面化学的な物性という点でもジェミニ型界面活性剤と類似な性質を有していることが示された。本研究で使用した陽イオン種と陰イオン種はpHに応じてその解離状態が変化する物質である。そのため、pHを変化させることで複合体の形成と崩壊を制御し、界面活性能もそれに伴い有意に変化することがわかった。すなわち、本研究で調製されたジェミニ型界面活性剤と類似な複合体はpH応答性を示す機能性有機材料と認められる。
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Research Products
(5 results)