2009 Fiscal Year Annual Research Report
環境浄化のための非酸化チタン系金属酸化物光触媒の設計原理と開発
Project/Area Number |
21750202
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
天野 史章 Hokkaido University, 触媒化学研究センター, 助教 (10431347)
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Keywords | 半導体光触媒 / 可視光応答性 / 有機物酸化分解 / タングステン酸 / 比表面積 / 結晶化度 |
Research Abstract |
室内の空気浄化を目的とする光触媒においては、微弱な可視光照射下において有機物を分解する機能がもとめられる。しかし、可視光吸収に適したバンドギャップをもち、なおかつ、高い光触媒活性をしめす材料は近年まで見いだされていなかった。タングステン酸ビスマス(Bi_2WO_6)の伝導帯下端は酸化タングステンよりも高く、助触媒がなくても酸素還元を進行でき、なおかつ可視光吸収も可能である。しかし、その光触媒活性は十分に高いものではなかった。われわれは、ある水熱反応条件下において調製したBi_2WO_6粒子が、特異な薄片凝集構造をもつマイクロメートルサイズの球状粒子(フレークボール粒子)であり、従来の固相法で調製されたBi_2WO_6粒子と比較して、有機物の酸化分解反応にたいして高い光触媒活性をしめすことを見出している。本研究では、フレークボール粒子の光触媒活性におよぼす構造物性の影響を詳細に検討し、非酸化チタン系金属酸化物光触媒に関する知見を深めることを目的とした。空気中の気相アセトアルデヒド酸化分解反応においては、結晶性が同程度に高いBi_2WO_6粒子の光触媒活性は、比表面積に比例して増加した。アルデヒドの分解初速度が表面吸着量にたいして一次であること、アルデヒドの表面吸着量が比表面積に比例することから、正孔によるアセトアルデヒドの酸化反応速度が全体の反応速度を支配していることが実証された。一方、水溶液中の酢酸分解反応においては、粒子の結晶化度が増加するにつれて光触媒活性が単調に増加した。これらの結果は、光触媒反応の反応条件によって活性支配因子が異なることをしめしており、それぞれの反応条件に適した光触媒材料の開発が必要なことを示唆している。
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