Research Abstract |
本研究では,異方性のある結晶構造を有し,耐食性,熱的・機械的特性に優れるムライト及び炭化ケイ素を候補材として,焼成中あるいは熱処理中において,気孔内部や焼結体表面等の焼成面での「その場」結晶成長やその配向・形態制御により,排ガス浄化用フィルターへの応用を目指した高性能セラミック多孔材の創製に関する基礎研究を行うことを目的とし,平成21年度はムライト及び炭化ケイ素に関して,焼結性向上及び気孔形成の観点から気孔径制御手法について検討するとともに,これらの結晶成長・配向制御に関して検討し,多孔体焼成面での「その場」結晶成長・粒子配向に関して基礎的知見を得ることを目的とした. ムライト原料に酸化鉄を6または11wt%添加し,焼結したところ,酸化鉄の添加により焼結性が著しく向上し,柱状粒子が発達した組織となった.また,添加した鉄はムライト結晶内に固溶していることを明らかにした.球状ポリマーを造孔材として用いてムライト多孔体を作製したところ,酸化鉄を添加することにより焼結性が向上し,気孔径分布が制御されることを見出した. 炭化ケイ素原料にアルミニウム,ホウ素及び炭素を焼結助剤として添加し,常圧焼結したところ,アルミニウムの添加量の増加に伴い,炭化ケイ素の板状粒子が成長した.特に,アルミニウム源として硝酸アルミニウムを用いることにより,少ない添加量で炭化ケイ素の板状粒子が成長することを明らかにした.球状ポリマーを造孔材として炭化ケイ素多孔体を作製したところ,気孔径分布は2極化しており,小さい気孔径分布は板状粒子間の隙間,大きな気孔径は造孔材により形成された気孔であることがわかった.また,得られた炭化ケイ素多孔体の弾性率を超音波パルス法(本申請で購入)により測定したところ,140~250GPaであり,これらの値はその気孔率に依存していた.
|