2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規置換型マイカ群の創製と層間架橋型ナノ多孔体の高機能化
Project/Area Number |
21750206
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
山口 朋浩 信州大学, 工学部, 助教 (30283237)
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Keywords | 膨潤性マイカ / 同形置換 / インターカレーション / 架橋マイカ / ミクロ多孔体 / フラックス |
Research Abstract |
新規層状結晶としての各種置換型マイカ群の体系的創製と,それらをホスト結晶として用いた架橋マイカ多孔体の高機能化を目的とし,層間挿入反応(インターカレーション)用のホスト結晶として優れた機能を有する一連の新規置換型マイカ群の合成およびそれらのマイカの基礎的な性質について研究を行った.基本組成のマイカとしてNa型フッ素四ケイ素雲母[NaMg_<2.5>Si_4O_<10>F_2]を選定し,その四面体シートのSi位置にBを置換した系[NaMg_<2.5+0.5x>Si_<4-x>B_xO_<10>F_2;0≦x≦1]の合成を溶融法で行い,新規置換型マイカ群の創製を目指した.その結果,x値の全域にわたり置換型マイカがほぼ単一相として生成すること,及びx値の増加に伴い析出する置換型マイカ結晶が大径化することを明らかにした.得られたB置換型マイカはすべてのx値において良好な膨潤能を示し,インターカレーション用のホスト結晶として利用可能であることが示唆された.置換により結晶粒子が大径化することは,類縁の天然鉱物をホスト結晶とする場合との差別化を可能にするだけでなく,インターカレーションによる複合体の高性能化の観点からも望ましい結果と位置づけられる.これらのB置換型膨潤性マイカをホスト結晶として用い,ポリヒドロキソアルミニウム水溶液との反応(インターカレーション)と仮焼によって,ミクロ多孔性のアルミナ架橋マイカが合成できた.生成する架橋マイカの細孔特性に及ぼすホストマイカ結晶のx値の影響については,引き続き詳細な分析を行っている.また,Na型テニオライトマイカ[NaMg_2LiSi_4O_<10>F_2]の系では,少量のNaClをフラックスとして含む非化学量論原料混合物を用いる方法により,生成する膨潤性マイカ結晶の粒子形態を制御でき,かつ膨潤特性に優れインターカレーション用のホスト結晶として適したマイカ結晶が得られることを見出した.
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