2009 Fiscal Year Annual Research Report
希土類オキシ炭酸塩を母体とする新規三波長蛍光体の開発
Project/Area Number |
21750207
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
増井 敏行 Osaka University, 工学研究科, 准教授 (00304006)
|
Keywords | 希土類 / オキシ炭酸塩 / 蛍光体 / 共融混合物 / フラックス |
Research Abstract |
希土類オキシ炭酸塩は正方晶(I型)、単斜晶(Ia型)、六方晶(II型)の3つの異なる構造を持つことが知られている。この3種の構造の中でも、II型の希土類オキシ炭酸塩は他の2種と比較し、高い耐水性、熱安定性を持つことから蛍光体の母体に最も適していると考えられる。 しかしながら、希土類オキシ炭酸塩を母体とする蛍光体は、1970~80年代に数例研究されたものの、十分な発光強度が得られていない。これは、過去の研究では、希土類オキシ炭酸塩がとりうる3種類の結晶構造(I、Ia、II型)のうち、蛍光体母体材料として適している結晶構造(II型)を単相で、しかも結晶性の高い相として得ることが極めて困難であったためである。 これに対し本研究では、低融点のアルカリ金属炭酸塩共晶系をフラックスとして加える独自の合成法を用いることにより、六方晶II型構造を有する単相の希土類オキシ炭酸塩を極めて簡便に合成可能であることを見いだした。そこで、II型の希土類オキシ炭酸塩に、赤色および緑色発光中心としてそれぞれ+3価のユウロピウムイオン、及び+3価のテルビウムイオンを付活した新規な蛍光体を新たに開発し、その発光特性や粒子形態を明らかにすることを目指した。 様々な組成の蛍光体を検討した結果、ガドリニウムとイットリウムの複合オキシ炭酸塩(ガドリニウム:イットリウム=95:5)からなる母結晶に、+3価のテルビウムイオンを11%の割合で付活した緑色発光蛍光体の発光強度が最も強い発光を示した。分光蛍光光度計を用い、その発光強度を市販のリン酸ランタン系緑色発光蛍光体を比較したところ、本研究で開発した希土類オキシ炭酸塩蛍光体は、市販蛍光体のおよそ1.3倍の発光強度を示すことが明らかとなった。
|