2010 Fiscal Year Annual Research Report
シリカナノ構造体をテンプレートとする導電性ダイヤモンド多孔質体の作製
Project/Area Number |
21750209
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
近藤 剛史 東京理科大学, 理工学部, 助教 (00385535)
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Keywords | ダイヤモンド / 多孔質体 / 電気化学 / 電気二重層キャパシタ |
Research Abstract |
1.熱処理による導電性ダイヤモンド薄膜表面の多孔質化 前年度までに開発した導電性ダイヤモンド中空ファイバー構造体の比表面積をさらに増大するための後処理法の開発を行った。研究実施計画時点では、テンプレートのナノ構造化による比表面積の増大を予定していたが、研究の進展に伴い、ダイヤモンド表面のナノ構造化が可能であることがわかり、比表面積の増大に対してより効果的と考えられる本法による多孔質化を推進した。マイクロ波プラズマ化学気相成長(MPCVD)法により作製した多結晶ボロンドープダイヤモンド(BDD)薄膜をアルゴン気流下で1000℃に加熱することにより、BDD表面がグラファイト化し、数百nm以下の細孔が生成することが分かった。その後、空気中435℃で加熱することで、生成したグラファイトが選択的に酸化除去され、細孔構造を持ったBDD薄膜を得ることができた。0.1M Na_2SO_4中のサイクリックボルタンメトリーにより電気二重層容量を見積もると、処理前(27μF cm^<-2>)と比較して、多孔質化後(900μF cm^<-2>)では30倍程度増加していることがわかり、効果的に比表面積を増大できることが確認された。 2.導電性ダイヤモンド中空ファイバーのナノ構造化 熱処理によるダイヤモンド薄膜の多孔質化を導電性ダイヤモンド中空ファイバーのナノ構造化に応用した。石英ウールをテンプレートとして作製した導電性ダイヤモンド中空ファイバーウール(BDD-HFW)を、アルゴン気流下で1000℃、6時間加熱し、さらに空気中435℃で6時間加熱することで表面をナノ構造化した。走査型電気顕微鏡による観察の結果、中空ファイバー表面が厚さ数十nmの薄片状のBDDで覆われた構造が確認できた。ナノ構造化BDD中空ファイバーは大きな比表面積を持つ導電性ダイヤモンドモノリス体であるため、作動電圧の大きな電気二重層キャパシタや、高耐久性燃料電池用触媒担体など、電気化学エネルギーデバイスの基礎材料としての応用が期待される。
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