2009 Fiscal Year Annual Research Report
原子分解能電子顕微鏡による共有結合型黒鉛化合物の局所構造観察
Project/Area Number |
21750211
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
佐藤 雄太 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, ナノチューブ応用研究センター, 研究員 (90392620)
|
Keywords | 炭素 / 黒鉛 / フッ素化 / 酸化 / TEM / EELS |
Research Abstract |
本研究課題は、層状の黒鉛化合物およびその関連物質を対象として、原子レベル分解能の電子顕微鏡(TEM/STEM)による構造観察と高感度の電子分光(EELS)測定を中心に、ゲスト化学種(酸素原子、水酸基、フッ素原子など)の面内配置や炭素原子の電子状態(sp2、sp3)の分布を、単原子レベルで直接捉えることを目的としている。本年度は、フッ化黒鉛試料に対し従来型(120kV級)TEM-EELS装置を使用して観察・分析実験を実施した。この結果、加速電圧120kVの条件では、電子線照射に起因するフッ化黒鉛試料の構造変化が観測され、EELS測定においてもフッ素・炭素原子比(F/C)が照射時間に応じて減少することが確認された。比較対象として、既に分子構造が明らかになっているフッ素化フラーレンC60F36やフッ素化単層カーボンナノチューブ(F-SWNT)に対して同条件で分析を行ったところ、F/C比の減少速度がほぼ同程度であることも確認した。一方、酸化黒鉛などに見られる炭素-酸素結合の直接検出のための基礎データを得るため、酸化処理を施したSWNTのTEM観察も並行して実施し、酸素原子が存在すると見られる欠陥領域の高分解能観察を行なった。本年度はさらに、低加速専用TEM/STEM-EELS装置を使用し、加速電圧60kVの条件で上記の各試料の観察・分析にも着手しており、この実験については実施条件の最適化を図りながら次年度も引き続き行う予定である。
|
Research Products
(3 results)